2008年09月13日
つくば近辺の劇団等
皆さんこんにちは。ひきつづき。
ここ数ヶ月、見た舞台やお会いした団体など。・・・
とりあえず募集チラシをつくって、周囲に「劇団立ち上げます!」と宣言し始めたのは、5月か6月のことだったと思います。
当然のことながらびっくりされたり呆れられたりするなか、思いのほかに「友達も演劇やってるよ」とか、「実は自分も昔やってた」とか「よく分かんないけど、面白そうじゃん」みたいなこと言ってくださる方がけっこうあらわれてきて。
でも、「演劇経験長いんだ?」などと聞かれて「いや、実はなんにも知らないんです」と正直に答えると、「・・・・・・」とそこで会話がとまってしまい。
やはりこれではいけないなぁと。
なんにも知らないのにいきなり劇団やる! というのはちょっとあまりにムボウなのだなぁと。
そんなわけで、たいへん泥ナワではございますが、この6月ごろから、つくば近辺で活動する劇団や、舞台の催しや、それに関わる方々などに、片っぱしから当ってみたのでした。
ウィルアム・サロウヤンの<ママ アイ・ラヴ・ユー>に、こんな一節があります。
舞台はほとんど素人の若いママが、ひょんなことから大役に抜擢される。で、練習に入って少ししたある日、たまの休みに、
「ほかの舞台など見て勉強した方がいいかしら?」
と言うと、ディレクターが、
「いや、けっして劇場には足を踏み入れないでください!」
と答えるのです。
経験のないものほど、たまたま見たものに変に影響を受けて、自分のなかで深化しないうちに中途半端に真似してしまったりする。
そういう危険は自分でも分かっていたので、ためらっていた部分もあったのです。
でももうここまで来ちゃった以上、仕方あるまい。ということで・・・
じっさい色々あたってみはじめると、つくば近辺にも演劇人たちのかなり長い伝統があり、いろんなところで地下水脈のように脈々とつながってるんだなぁ、というのが漠然と見えてきて。
いろんな方に親切にしていただいたり、いいものを見せていただいたりしました。
○創造市場
お稽古風景から見学させていただいたのは、土浦に自前の稽古場をお持ちの<劇団創造市場>。
伺ったのはちょうど<ピーター・パン>の公演前にあたり、お忙しいのに見学を受け入れてくださってほんとに感謝しています。
お寺の離れのような古い日本家屋で、すごく懐かしい感じのところなんです。
過去に上演した演目のポスターが壁にずらりととめてあって、大道具や小道具がごたごたと並んでいて、ほんとに、寺山修司の時代にタイムスリップしたみたい。
今ではこんな日本家屋じたいが少なくなってしまっていますから、いとおしく眺めたことでした。
土浦公演も見に行きました。
演技の完成度も高く、プロ意識に裏打ちされた、たいへん安定した舞台という印象を受けました。
衣裳、背景の木々や、照明など、舞台装置も凝っていてすばらしかった。
ピーター・パン、ちゃんと雲の中を空飛んでたし。
なかでもとくにすばらしかったのはティンカー・ベル。・・・
ティンクって、キャストの中でひとりだけ、人間じゃないんですよね。
人間じゃなくて妖精で、それゆえ根本的な感覚が人間とは違っている。
たいして深く考えもせずにウェンディを殺させようとしたり、それであとで詰め寄られても本気で反省しなかったり、・・・それでいてぜんぜん悪気はなかったりですね。
そういう感じが、とてもよく出ていた。
演技のうまさだけではなくて。見ていてほんとに、別の種族って感じがしました。
あとで伺ったら、劇団の看板女優さんなんだそう。
むべなるかな。
しかも、きいてほんとに残念だったことには、前回の公演が<オンディーヌ>で、主役をやってらしたというんです。
ぜひ見たかった!・・・ほんとに。
というのは、<エニスの修道士>のエルダというのは、ぜったいにオンディーヌの遠い親戚なんです。それはもう、間違いない。
芝居でやる<オンディーヌ>というのは、ふつうジャン・ジロドゥーの戯曲をもとにしています。かつてオードリー・ヘプバーンもこれを演じています・・・<ローマの休日>より前に。
でも、そのもとネタにはフーケーの原作があって、それ、子供のころからほんとに大好きだったのです。戯曲とは少しプロット違います。
こちらは<水妖記>のタイトルで岩波の赤帯から出ています・・・かつて出ていた。いまは版、切れているかも。
岩波のあと書きにも書かれていることですが、フーケーにしてからが、昔から地方に伝わる伝説をもとにしてそれを書いています。
ですからあれもやはり、大地の懐からもらってきた物語なんですね。
創造市場のオンディーヌ、いつかぜひDVD等で拝見したいなと思っています。
あとひとつふたつ見聞録をお送りしたいと思います。よろしく。
中島迂生
ここ数ヶ月、見た舞台やお会いした団体など。・・・
とりあえず募集チラシをつくって、周囲に「劇団立ち上げます!」と宣言し始めたのは、5月か6月のことだったと思います。
当然のことながらびっくりされたり呆れられたりするなか、思いのほかに「友達も演劇やってるよ」とか、「実は自分も昔やってた」とか「よく分かんないけど、面白そうじゃん」みたいなこと言ってくださる方がけっこうあらわれてきて。
でも、「演劇経験長いんだ?」などと聞かれて「いや、実はなんにも知らないんです」と正直に答えると、「・・・・・・」とそこで会話がとまってしまい。
やはりこれではいけないなぁと。
なんにも知らないのにいきなり劇団やる! というのはちょっとあまりにムボウなのだなぁと。
そんなわけで、たいへん泥ナワではございますが、この6月ごろから、つくば近辺で活動する劇団や、舞台の催しや、それに関わる方々などに、片っぱしから当ってみたのでした。
ウィルアム・サロウヤンの<ママ アイ・ラヴ・ユー>に、こんな一節があります。
舞台はほとんど素人の若いママが、ひょんなことから大役に抜擢される。で、練習に入って少ししたある日、たまの休みに、
「ほかの舞台など見て勉強した方がいいかしら?」
と言うと、ディレクターが、
「いや、けっして劇場には足を踏み入れないでください!」
と答えるのです。
経験のないものほど、たまたま見たものに変に影響を受けて、自分のなかで深化しないうちに中途半端に真似してしまったりする。
そういう危険は自分でも分かっていたので、ためらっていた部分もあったのです。
でももうここまで来ちゃった以上、仕方あるまい。ということで・・・
じっさい色々あたってみはじめると、つくば近辺にも演劇人たちのかなり長い伝統があり、いろんなところで地下水脈のように脈々とつながってるんだなぁ、というのが漠然と見えてきて。
いろんな方に親切にしていただいたり、いいものを見せていただいたりしました。
○創造市場
お稽古風景から見学させていただいたのは、土浦に自前の稽古場をお持ちの<劇団創造市場>。
伺ったのはちょうど<ピーター・パン>の公演前にあたり、お忙しいのに見学を受け入れてくださってほんとに感謝しています。
お寺の離れのような古い日本家屋で、すごく懐かしい感じのところなんです。
過去に上演した演目のポスターが壁にずらりととめてあって、大道具や小道具がごたごたと並んでいて、ほんとに、寺山修司の時代にタイムスリップしたみたい。
今ではこんな日本家屋じたいが少なくなってしまっていますから、いとおしく眺めたことでした。
土浦公演も見に行きました。
演技の完成度も高く、プロ意識に裏打ちされた、たいへん安定した舞台という印象を受けました。
衣裳、背景の木々や、照明など、舞台装置も凝っていてすばらしかった。
ピーター・パン、ちゃんと雲の中を空飛んでたし。
なかでもとくにすばらしかったのはティンカー・ベル。・・・
ティンクって、キャストの中でひとりだけ、人間じゃないんですよね。
人間じゃなくて妖精で、それゆえ根本的な感覚が人間とは違っている。
たいして深く考えもせずにウェンディを殺させようとしたり、それであとで詰め寄られても本気で反省しなかったり、・・・それでいてぜんぜん悪気はなかったりですね。
そういう感じが、とてもよく出ていた。
演技のうまさだけではなくて。見ていてほんとに、別の種族って感じがしました。
あとで伺ったら、劇団の看板女優さんなんだそう。
むべなるかな。
しかも、きいてほんとに残念だったことには、前回の公演が<オンディーヌ>で、主役をやってらしたというんです。
ぜひ見たかった!・・・ほんとに。
というのは、<エニスの修道士>のエルダというのは、ぜったいにオンディーヌの遠い親戚なんです。それはもう、間違いない。
芝居でやる<オンディーヌ>というのは、ふつうジャン・ジロドゥーの戯曲をもとにしています。かつてオードリー・ヘプバーンもこれを演じています・・・<ローマの休日>より前に。
でも、そのもとネタにはフーケーの原作があって、それ、子供のころからほんとに大好きだったのです。戯曲とは少しプロット違います。
こちらは<水妖記>のタイトルで岩波の赤帯から出ています・・・かつて出ていた。いまは版、切れているかも。
岩波のあと書きにも書かれていることですが、フーケーにしてからが、昔から地方に伝わる伝説をもとにしてそれを書いています。
ですからあれもやはり、大地の懐からもらってきた物語なんですね。
創造市場のオンディーヌ、いつかぜひDVD等で拝見したいなと思っています。
あとひとつふたつ見聞録をお送りしたいと思います。よろしく。
中島迂生
Posted by 中島迂生 at 11:21│Comments(0)
│演劇一般
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