2017年09月05日

北ポルトガル2017 1日目*出発、ブラガンサへ


 

突然ですが、ずっと行きたかった北ポルトガルに行ってきたので、そのもようを記録しておきたいと思います。
相変わらずのパリ暮らしです。5月の末に授業と期末テストが終わり、そのまま怒涛の受験勉強生活に突入して、6月半ばにDALFというフランス語認定試験を受験。
その後数日間でバタバタと準備して、2週間弱の初ポルトガルへ。という、なかなかの強行軍でした。

*********************

6月21日 1日目*出発、ブラガンサへ

1日目は、5時起き。6時に出て、メトロ2本乗って、さらにバスで1時間かけて空港のあるBeauvaisという町へ。そこから飛行機で2時間、北ポルトガルの町ポルトに到着。空港からまたメトロで1時間かけて市内へ。
そこから、さらに長距離バスで3時間、ドウロ川に沿って山岳地帯を遡り、バスルートのどんづまり、スペインとの国境近く、山に囲まれたブラガンサという町に到着です。
今回の目的地は、さらに山奥のとある小さな村なのですが、ひとまずこのブラガンサに宿をとり、ここを拠点にあちこち足をのばす予定。



ポルトのメトロから地上へ出てきたところにどーんと聳え立つ美しい建物。
こまかく絵柄を描きこんだ、白地に青の美しいタイルが外観をすっかり覆っています。
このスタイルはアズレージョと呼ばれ、この国へ来て見てみたかったもののひとつ。

 

 

 

バスの窓からの景色。
このへんはポルトガルの北東部、Trás-os-Montes トラス・オス・モンテス(山々のかなた)と呼ばれる地方です。
地元の人は「トラーゾジュモンテス」みたいに発音してました。
2011年ころ、都内でポルトガル映画祭がありまして、そこで見ていちばん印象的だったのがその名も Trás-os-Montes(António Reis & Margarida Cordeiro, 1976)という、この地方を舞台に撮られたドキュメンタリー映画。その美しい山々の映像を見て、いつかこの地方を旅したいと思ったのです。

この映画、youtubeにも上がっていて見ることができます。ただ、たいがいオリジナルのポルトガル語音声のみ。
映像自体が主役みたいな映画なのでそんなに問題もないかと思いますが、興味ある方は、よければ私が日本語字幕で見て勝手に書き起こしたスクリプトをどうぞ。
http://ballylee.tsukuba.ch/c8643.html

今回はこの地方に滞在中ずっと、連日かんかん照りで焼けるような暑さでした。国内のあちこちで大規模な山火事が相次ぎ、連日トップニュースで報じられていました。
ブラガンサの町に着いたのは夕方でしたが、まだほんとに炎天下で、強烈な日射し。
バスステーションから宿までけっこう遠くて、場所も分かりづらく、辿り着くのが大変でした。

ふだんはめったに外食しないのですが、ポルトガルはごはんもおいしいということなので、今回の旅行では食も楽しみのひとつ。
この日は、町の中心にある、ガイドブックに載ってたレストランへ行ってみた。
Lá Em Casa というお店。
子牛のグリルを頼んでみたら、ほんとに絶品でした。
写真を撮ってないので、代わりにイラストで。



見た目はごくシンプルですが、素材じたいがほんとにおいしくて、その本来の味を引き出すような絶妙な料理かげん。
子牛はこんがり焼き色がついて中までちょうどよく火が通り、ナイフですっと切れる柔らかさ。
味つけは塩と少しのニンニクくらい。
つけあわせのジャガイモやサラダも、野菜の味がほんとに濃くて、びっくりするほど。
石窯でじっくり焼き上げたような、ものすごく皮が分厚くてハードなパン。
きりりと冷えた白ワインは、パーッと広がるフルーティな香り。
全部で18ユーロくらい。パリの半分ほどの感覚です。

 

きつい旅程の初日でしたが、トラス・オス・モンテスの山の景色が見られたのと、ごはんがおいしかったのですべてOK。





  

Posted by 中島迂生 at 23:40Comments(0)ポルトガル紀行2017

2017年09月06日

北ポルトガル紀行2017 2日目*モンテジーニョ


 

6月22日 2日目*モンテジーニョ

 

ブラガンサの宿の朝ごはん。

 

 

ブラガンサの町のあちこち。

***

2日目、今回のメインの目的のひとつ、モンテジーニョという山あいの小さな村へ。
(地元の人はモン・ズィーニョという感じで発音してました。)
ブラガンサの北、スペインとの国境近くに広がる山岳部は、モンテジーニョ自然公園という広大なナショナルパークとなっていて、伝統的な造りの家々や昔ながらの風習が今に残されています。
この山々のあいだに点々と散らばる小さな村々をまわってみたい、とくに先に記した「トラス・オス・モンテス」という映画の主な舞台となったモンテジーニョを訪れたい。
しかし、なかなか難しいことは分かっていました。
ローカルバスの本数も極端に少なく、車がないと話にならないところ。
レンタカーを借りたかったのですが、諸事情により断念、結局、タクシーで行くことに。
お昼のあとに待ち合わせして、村まで行ってくれることになりました。



時間が余り、昨日のレストランが近くだったので、また入ってみた。
この日は魚料理をお願いしたら、店主のお勧めは干し鱈の盛り合わせ。
タラはバカリョウといって、ポルトガル名物のひとつです。
しかし、とにかく干物なのでものすごく塩辛く、半分も食べられなくて、これはちょっと参りました。。



来てくれたタクシーの運転手はほぼポルトガル語オンリーで、フランス語がちょっぴり分かるくらい。
そこで、道々、彼はポルトガル語で、私はフランス語で話し、あとはジェスチャーで何とかという感じでしたが、とくに問題はなかったです。
モンテジーニョの村は、ブラガンサから1時間ほど、山道をうねうねひたすら登っていきます。
これは、バスがないのも分かるなー。しかし、それだけに山々をのぞむ見晴らしは最高。

 

 

 

村の家並も、ほぼ40年前に撮影されたままの雰囲気でいい感じ。
石造りの家の正面に階段がついて、2階から入っていくような、独特な造りになっています。
村の広場には泉があって、そこの水は絶品でした。冷たくてほんとに甘いのです。

ただ、ほんとは、この村のほかにさらに行ってみたい場所があったのです。
この村からほど近いはずのどこか。
それは映画のワンシーンに出てくる場所なのです・・・
モンテジーニョの村に住む2人の少年が、ある日近所の山へ遊びにいきます。一日楽しく遊びまわって、あちこち探検しているうちに、とある岩山にさしかかります。
大きな岩の上には2人の女の人が座っている。ひとりは黒い衣、もうひとりは赤と白の長い衣を着て、なにやらただならぬミステリアスな雰囲気。
赤い衣の女性が少年たちに気づき、彼らに言う、「あなたたち、いつ来たの。あなたたちもここへ来て、私たちといっしょにいなさい」
けれど、彼らは何となく怖くなって、「いえ、ぼくたち、帰ります。家へ帰ります」と答え、足早に立ち去る。
やがて彼らはモンテジーニョの村へ戻ってくるが、なにか様子が違う。知っている顔にも会わない。
彼らが自分たちの名を告げると、村人たちは言う、「それはわしらの7代前の先祖だ。大人をからかうんじゃない」
ドキュメンタリーだったはずが、なぜだかいつのまにかリップ・ヴァン・ウィンクルみたいなことになっている。
こうした、説明なしに急に違う世界へ行ってしまうシュールなところも好き。
私はこの場面が、この映画のハイライトだと思っていて、この場面が撮影された場所へ、ぜひ行ってみたかったのです。
しかし、映像を見ていても山と岩ばかりで手掛かりがなく、さっぱり見当もつきません。
この辺のどこでも舞台になりそう、といえばそうなのですが・・・。
ネットでも調べてみましたが分からず、現地へ行って聞いてみたら何か分かるかも、と思ったのです。

モンテジーニョはほんとに小さな村で、村の広場前にひとつだけあるカフェに、村のほとんど全員が集まっているようなところ。
しかし、その中の誰も映画について知りませんでした。
中にひとりだけフランス語分かる人がいて、私がその人に説明すると、その人がその場にいた全員にポルトガル語で伝えてくれたのですが、カフェの主人をはじめ誰一人、映画の存在自体を知らなかった。
実を言うと、この地域に滞在中、あらゆる人に、ツーリストオフィスから、民俗博物館から、歴史博物館から、しまいには宿のスタッフの人にまで、あらゆるところで聞いて回ったのですが、全く誰も知らなかったのです。
神秘は神秘のままに、そっとしておくべきなのか・・・



それはそうと、今回タクシーという選択肢はなかなかよかったです。
道も任せられるし、すごい山道なので多少のテクニックは要するし、ガソリンを入れたり諸々の面倒もなく、時間を気にすることも乗り損ねることもなく、さいごは宿までまっすぐ送ってもらえてストレスフリーでした。
一日二日ならバスやレンタカーよりよいかも。



  

Posted by 中島迂生 at 01:31Comments(0)ポルトガル紀行2017

2017年09月06日

北ポルトガル紀行2017 3日目*リオデオノールほか




ブラガンサの町。町のシンボルのブラガンサ城をのぞむ。

 

 

町の広場や、ブラガンサの町並たち。

***

6月23日 3日目*リオデオノールほか

この日は前日のモンテジーニョにつづき、リオデオノールという、同じくらい山奥にある別の村を訪ねてみることに。
川を挟んで半分スペインというので有名らしいですが、それより心惹かれたのは、古くからの暮らしがそのまま残っているらしいこと。
バス事情を調べてみると案の定で、結局、再びタクシーをお願いすることに。



前日と同じく、昼休みのあとに待ち合わせ。
それまで、この日は裏通りにひっそりとあるカフェに入ってみた。
頼んだのは炭酸水と、上にメレンゲをのせて焼いたスポンジケーキ的なもの。
メレンゲといっしょにのってたレモンクリームがいい感じでおいしくいただきましたが、ヴァニラとアーモンドの香料はちょっとキツくて苦手だったかも・・・。
でもゆっくりできて居心地のよいカフェでした。地元の人がいっぱい来てた。

前日のタクシーはいい感じでしたが、私の方がいまいち使いこなせていなかった点も。
途中、絶景ポイントがあって「写真を撮りたいな」と思っても、たちまち通り過ぎてしまって言えなかったり。
そんな反省点もあり、この日は出発前に運転手さんに相談しました。
目的地のリオデオノール以外でも、途中景色のいいところや感じのいい村があったらちょっと撮りたいので止まってほしい。
そして、地図見てたら、ブラガンサとリオデオノールを結ぶルートが2通りあることに気づき、できれば行きと帰りとで別なルートを通ってほしい等々。
もろもろ承諾を得て、いざ出発。

 

 

リオデオノールまでの道は雄大な山景色。でも、前日のモンテジーニョへの道よりは、ぜんぜんなだらか。

 

 

そして村に到着! カンカンのものすごい炎天下。

 

 

モンテジーニョとリオデオノールの民家はどちらも同じような建築様式だが、実は産出する石の種類が違うので使われる石材が違うそうです。
片方がグラナイトでもう片方が何とかで。
運転手のマヌエルが教えてくれた。ポルトガル語のさっぱり分からない私によくそこまで教えるなーw
私もなぜ分かったのかナゾです。。

 

 

来れてよかったけど、いや暑かったー!! 焼け死ぬかと思った・・・。
リオデオノールを出発して、帰り道も点在するあちこちの村々に寄り道。

 

 

マヌエルはガイド並みに色々知っていて、いちいち教えてくれます。
ここの村はフォトジェニックでお奨めとか、あの橋はローマ時代のものだとか、あの教会は何世紀にできたとか。
ぐるりとまわるあいだに簡単なポルトガル語も教えてくれて、数字なんか、次の日からさっそく役立ちました。

結果として、この日は時間もお金も少しよけいにかかりましたが、途中の村々までゆっくりとまわることができ、気がついたら、2日間のタクシー移動で、広大なモンテジーニョ国立公園のほぼ東側半分、実質的にまわれた感じに。
初の訪問で、ここまでいけるとは思わなかった。
これは思わぬうれしい収穫となりました。



  

Posted by 中島迂生 at 17:43Comments(0)ポルトガル紀行2017