2018年08月26日

竜一点描 補遺その1


この記事では、中島迂生が母校・竜ヶ崎一高を卒業時に書いた<竜一点描>の補遺メモをまとめています。


高校関係、ひと段落したつもりでいたのですが、もうちょっと。

<竜一点描>をタイプするために原稿を探していたら、
ネタのメモがいろいろ出てきました。
収録候補だったけど、バランスの関係で見送ったもの。
なかでも圧倒的に多いのは、日本史のS先生ネタ。
雑談多かったし、しかも毎回、けっこうちゃんとオチがあるし。
ただ、ぜんぶ入れてるとほかの要素を食ってしまって、もはや<竜一点描>ではなく<S先生語録>になってしまうのでw、一部しか載せられなかったのです。
でも、このまましまいこんでおくにはあまりにも面白いので、こちらに。

S先生には、卒業後遊びにいったとき、一度だけお会いしました。
<竜一点描>をとても喜んでくださっていて、
「○○さんみたいな人がいるんだったら、僕ももうちょっと頑張って授業やろうかと思ったよ」まで言われた。
そこまで言われてしまうと、もう返すコトバがありません…。
私はただ書いただけで、ネタはぜんぶ、先生ご自身の言葉だったのに。
というかむしろ、勝手に書くな!と怒られる、という状況だってありえたのに。

「もうちょっと頑張って授業やろうかと…」って。
やっぱり竜一高の先生方って、みんな謙虚だな。
その言い方では、授業頑張っていなかったみたいじゃないですかw
じっさいは、充分いい授業をしてくださっていた。
みんな、目指す水準がよくよく高いんだな。
S先生、お元気でしょうかね。…

****************

S先生語録(<竜一点描>未収録分)

模試の解説をしながら。
「そういえば、A組で80点なんか取ったのがいたなぁ。そいつ日本史じゃないんだわ。
やっぱりだめだぞなぁ、日本史いらない奴は80点なんか取っちゃだめだよ。
やってる人がかわいそうだっぺ。
そういうもんだど…悲しんでる人がいるのに喜んじゃだめだっぺ。
喜ぶんなら悲しんでる人がいないところで喜べよ」

プリントを配りながら…
「ゆうべはよぅ、…っていうところへ行ってきたんだ。碁をやってきたんだわ。
そしたら、そこに知ってる人が来ててよう、本当に喜んで迎えてくれたんだわ。
ああ、先生、どうぞどうぞ、ひと勝負やりましょうってなぁ。
その人、獣医さんでよう、娘夫婦も獣医なんだわな。
ゆうべは僕、三連勝しちゃったんだよなぁ。
しまいの方になったらその人よ、真っ赤な顔してよ、先生どうぞ一回くらい負けてくださいってよ。
負けてくださいも何も、今さらどうしようもないっぺなぁ。
はじめのうちなら何とか負けられるかもしんねえけど、ここまできて負けるって難しいど。
野球だっておんなじだっぺ、九回の裏まできて10対1で負けてくださいったってそりゃ無理だって。
1対0だったら何とかなるかもしれねえけどよ。
で、結局三回とも勝っちゃったんだけど、これ負けた人はうれしくないぞなぁ。
勝負ごとってそうだど、勝った人はうれしいけど、負けた人はうれしくないって。
だからできれば負けた方がいいんだよなぁ、そしたら相手の人を喜ばせてやれるっぺ。
僕、ゆうべうちに帰って後悔したよ、何も三回も勝つことなかったぞなぁ。
はい、じゃ7と8のプリント出してみろ。…」

「みんな、将軍の仕事って分かっか?
将軍の仕事ってな、子供をつくることだからな」

歴代の内閣の話から。
「そういえば、中曽根っているだろ、あいつ化けもんみてえだわな。
よくまだ生きってぺなぁ。
あいつのことを考えるたびに、僕は悔しくてよ。
あいつ生きてんのに、おやじ死んじゃったんだわなぁ。
あんな悪いことした奴が生きてて、うちのおやじ悪いことしてないのに何で死んじゃったのかなぁ。」

片岡蔵相の失言から、金融恐慌が始まって…
「あ、そう言や、失言て何のことだか分かっか、え?
失言てえのは、本当のこと言ったってことなんだよ。
あれだど、政治家ってのは、ぜったい本当のこと言わないかんな。
ありとあらゆること喋るけど、本音だけは言わねえんだ。
変な国だよなぁ、本当のこと言うと失言なんてよ」

日本が国連を脱退したときの票決について。
「42対1って、1が日本だど。
ふん、棄権1…これどこだか分かっか。これタイなんだよ。
タイはいいど、何となくバカにされてるみたいだけど、
タイはいいよ、みんなおだやかな人で、微笑みの国って言われてるんだ。
アジアで独立を保ったのは、日本とタイだけなんだ。
何でそんな強くもないのにタイが独立保てたか分かっか?
争いごとを好まねえからなんだよ。
そういうもんだど、泥棒が来たら、はいどうぞってあげちゃえば、何も争いになんないだろ。
何をこのって手向かうから事がややこしくなるんだ。
インドだってアフリカだって、手向かったから潰されちゃったんだろ。
タイは手向かわねえんだよ。
また脱退に賛成でもしたら日本から恨まれっぺと思って棄権したんだな。
なかなかうまいんだよ、タイは」

バングラデシュ人の友だちのこと、せがれが俺の話はするなと言っているという話。
若き日のデートのこと、関東大震災で僕のお婆ちゃんの人生が変わったという話。…

「やっぱりなぁ、ふつうがいいど。何でも。うん。何だってそうだよ。
結婚相手だって、適当なところにしといたほうがいいんだわ。
あんまり好きな人と結婚すると疲れっから」

「中国残留孤児の問題も、あれなかなかむずかしい問題なんだよなぁ。
ほんとのこと言うとよ。
だって、日本語わかんめ、生活習慣も違うし、仕事も見つけられるかわかんめよ。
あの人らは永住帰国したい言ってるけどよ、いや難しいってこれ。
身内のほうも色々あるからよ。
例えば、私70歳とします、いや、75歳のほうがいいかな、私75歳です、はい。
25歳のとき中国へ行きました。で、向こうで結婚して子供も生まれました。
ところがそのあと戦争になって従軍しました。
そのあいだに奥さんは死んじゃって、子供もどうなったか分かりません。
で、日本に帰って、また結婚して子供が生まれました。子供に孫もできました。
いま、私おじいちゃんです。
で、その頃になってよ、テレビかなんかで行方不明だった子供が出てきて、
肉親探してますなんて言われたらどうする?
これどうしようもねえってなぁ。
お金があればいいんだよ、よろこんで名乗り出て、いっしょに暮らしてやれっぺ。
ところが金ないんだよ。で、子供の世話になって暮らしてるだろ。
それにこんなこと家族に知れたら、あらおじいちゃんそんなことしてたのって、すごい騒ぎになるぞなぁ。
これどうしようもねえんだよなぁ、ひたすら黙ってるしかよ。
心の中ですまない、許してくれって思ってるんだろうよなぁ、きっとよ。
そういうような人がけっこういるぞなぁ。
むずかしいんだよ、うん。
たけど向こうの人にしてみればよ、まわりの人から、あんた日本人なんだろ、
何で日本に帰らないのかって言われてっぺなぁ。
それにお金の価値がまるっきり違うからよ、日本と中国じゃ。
でも、今でも似たようなことやってっぺなぁ。
今、フィリピンじゃお父さんが日本人だって子供たくさんいるよ、うん。
ところが名乗り出ないんだよな、これが。だって大変なことになっぺ、そんなことしたらよ。
何も言えないんだわ。
やっぱり、若いときに過ちを犯さないようにすべきだよ。ほんとのこと言うと。
ちょっとしたことで、人生めちゃくちゃになる場合があっから。ほんと。」

******************

「日本史いらない奴は日本史で80点なんか取るな」って、
日本史の先生が言っちゃうかw

「失言とはほんとのことを言ったということ」って、けだし名言。
これも<竜一点描>に入れるべきだったな。

それと、2018年現在、中曽根元首相がまだご存命(実に100歳!)
というのもほんとにびっくりです。。
当時、誰が想像しえただろうか。
あ、個人的には私、とくに中曽根さんに恨みはありませんけどね。





















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