2011年06月26日

旅行メモ2011その18 サフロンにて6 Bishop's

26 Apl, Tue
曇り→晴れ、急に寒い
それまでずっと、晴天つづきで暑かったのだけど

やっと自由の身になって(バンク・ホリデーから)、Lloyd's でTC£200 替える。
みんな用事がたまっていたようでけっこう時間がかかり、窓口ではaccount (口座)もってるかって聞かれた。
旅行者の身で口座なんかもってるかっつーの。

毎週火曜と土曜は市庁舎の前の広場に市が立つ。
荷物になるから大して買わないけど、見て歩くのは面白い。
でも今日は、写真1枚撮ったとたんに婦人服のストールのおばちゃんがカリカリ怒りながらやってきて、写真撮るなって。
分かった分かった、って言うと、分かったじゃない、今すぐこの場でdeleteしろって言う。
仰せのとおりに。
どうせyour clothes are shit!!!
と心の中で呟く。
Who cares?

じっさい、そのストールには興味なかった。
あんましセンス良くなかったもん。
市の写真だったら、近景が野菜とか果物のほうが断然映える。
市庁舎のすぐ前に青果のストールがあったので懲りずにさりげなくカメラをかまえると、私の前を横切ろうとしていた通行人が立ち止まってくれた。
世の中いろいろ。
Quite the opposite atitude!
I'm impressed, really.
右はその写真。

この日はさっそくバスに乗りこみ、スタンステッド経由でBishop's Stordford へ。
ほんとはスタンステッドまで行かれればよかったんだけど、ルートがそこまでつづいていたので、ついでに。
行ったことがなかったので、どんなところかちょっと行ってみたかったのだ。
わざわざビショップなんか行く人も珍しいらしく、ドライバーがさいしょ変な顔をしていたが、気を利かせて one day free ticket を売ってくれた。£4.40-

この二日間さんざん歩きまわったのでバスは気もちよかった。
バスの窓から眺める景色、ほんとに最高。

ビショップはこのあたりのほかの町ととりたてて変わらない、何ということもない町だった。
ふつうにハイストリートがあって、どこの町にもあるようなチェーンの色んな店、銀行とか服の店とかアクセサリー屋とかカフェとか、が軒を連ね、人びとが行き交ってる。
変哲もないけど、はじめて歩く町だから何となく心楽しい。

雑貨屋できれいなポストカードを見つけ、母親にと思ってレジにもってくと、レジのおばちゃんが
「まぁ、すてき! 年取って引退したらこんなところに住みたいわね」
って天真爛漫に言うのでおかしかった。(って、自分とこの商品だろっ)
「住めますとも」と私は請け合った。
「なんたってアナタはイギリスに住んでるんですからね」

Thyme というカフェでツナマヨのジャケットポテトとティー、£7.20-
こんなとこまで来てツナマヨもないじゃんと思うのだけど、あんまりチョイスがなかったのだ。

バスの旅は楽しいけど、長時間でトイレなしとなるとときどき死にそうになる。
それを忘れないこと。(自戒)

   ***

まだこの町には、好きでいる
一日たりとも、好きでもないのにいた日はない

その町にいる感覚を形作るのは、好きでもないのにいなくちゃならない時間の積み重ねなのかも
風景のいろんな様相も 毎日毎日、何年も何年もずーっと見て もう見飽きたよ、みたいな

なんだろな
結局みんなこういうのが好きなんだろな、この国の人間たちは
どの町へ行っても同じ、なんかザ・大英帝国みたいな
こういうものがすべて、廃れないで、壊されもしないで、今までずーっとこうして保たれてきてるってことは
なにも私が心配して、何度も見に来なくても安泰なのだ
この美しさを保つために、私は何も役に立ってない
ちょっと淋しさ
どんなに懐かしく思っても、この国はとくに私を必要としてないんだ

行ってはじめて思い出すこと
こーいうめんどくさいことがあったよなとか
バスの乗り方ってこうだったんだよなとか
この道の途中にこういう農家があったよなとか
あの集落に入る手前に水色の壁の家があったよなとか
セメタリーに行く道の右側に獣医さんちがあったよなとか
そういう感覚は、また来るとほとんどすぐに思い出すんだけど
また来ないと永遠に思い出さないだろう
そういう淋しさ

この世界はもうこのままで完ペキ
それでもあたしがここで何かやんない限り、あたしはこの世界とつながれないんだ
indifferent to me
distant to me
でもね それはつくばだって変わんなかったよ

ガラスのカプセルの向こう側へ行けない
それでも写真を撮るとなるとまた色々たいへん
この家並を撮りたいけど朝だと逆光だし、夕方のほんのいっときを逃すともう こんどは次の日の夕方まで待たないといけないしとか
あそことあそことあそこを撮るのに、光のかげんを考えるとどう動くのがいちばん効率いいかとか
けっこう頭疲れる

なんかいちいち確認しにいくのめんどくさくなってきた
確認するものがあまりにいっぱいありすぎて
しかもどれも大して変わってないし
せいぜい街路樹の枝の長さと、ドアのペンキの色くらいだろ

こうやっていくつもの町や村々を何度も訪ねていくのは、たとえば港に女を訪ねて行くようなものなんだろうな
変わってないとうれしいけど、変わり映えがしなくて飽きてくる
たとえ元がどんなにすばらしくても

今日初めて行ったビショップ、初めてというだけですごく楽しかった
とりわけどってことない町なのに
どの町もどの村も、それぞれたくさんの人たちが、コンスタントに手塩にかけて、誇りをかけて今の姿があるのに

なんだろな
今回は CostCutter で買うもの、なんかあんまり食べられない・・・口に合わない
ソーセージも缶詰のスープも、前はふつうに料理して食べてたのに
この国に来るといつも必ず買うもの、マクビティのフルーツショートケーキ(=干しブドウ入りのビスケット)、ダークチョコのビスケットも買ったけど、んー、なんかあんまり感動しない
なんでだろ

ウェブアルバム https://picasaweb.google.com/107799758412385197472
        

Posted by 中島迂生 at 21:49Comments(0)英國紀2011

2011年06月26日

旅行メモ2011 その17 サフロンにて5

25 Apl, Mon - Bank Holiday

今日はバスをつかまえて、スタンステッドまでの美しい景色をもういちど見たいと思っていた。
日曜がぜんぜん no bus service だったから。

今日はやることが色々あった、
まず銀行でTCを替えて、図書館でネットのやり方をきき、ゆうべショウウィンドウで見て気になっていたワンピースを見せてもらって・・・
とか色々考えていたんだけど、Lloyd's のぞいたらまっくら。
そこではじめて気づく・・・

ICに行って、今日ってバンクホリデーでしたっけ? と確認する。
日本でチェックしてきたはずなのに・・・メモって来るの忘れてた。Gosh!!!

それじゃスタンステッドまでのバスもないし。
ケンブリッジ行きならありますよ。
えー ケンブリッジですかー。今日はとくに用ないんだけど・・・
TCも替えられないし、図書館も休みだし、ほかにネット使えそうな場所もないし・・・どうしたものかー Bridge End Garden でも行くかな。
こーいうことがあるから恐怖のバンクホリデーなのだ。全く!

とりあえずケンブリッジに行くことにして、バス待ってたら、道の向こう側から来て、こっち側に回ってくるものだと思って待ってたらそのまま行ってしまった。Gosh, again!!!

しばし呆気にとられていたが、仕方がないので気を取り直し、今日も Town trail。
町を歩き回り、どんどん写真を撮っていく。
ゆうべ歩いたラヴリーな路地も。
Bridge End Garden はどうせまた行こうと思ってたからこの機会に。

しばらく歩きまわり、ひと休みしようとカフェをのぞいてみると、Cou Cou はやってないし、Rose & Crown Walk was cllosed. スタバにはそのぶん人がいっぱいで、とても落ち着けそうになく、諦めてそのままぶらぶらセメタリーのほうへ。・・・

途中のお店でエッグベーコンサンドとりんごを二つ、£2.50-
日本のより小ぶりで、みんな気軽に皮ごと食べる。

サフロンのセメタリー(共同墓地)は、来たら必ず訪ねる場所のひとつ。
と言うと気味悪がるひとが多いのも事実だが、私は好きだ。
しずかで美しく、とても落ち着く。

入り口に Peace Cottage という名のついた石造りの愛らしい家があって、前来たときには管理人の女の人の姿を見たことがある。
今回は修理中のようで人の気配がなく、「配達物はこっちに置いといて下さい」みたいな断り書きがしてあった。

面白いのは、イギリスの墓地って町と同じ構成なのだ。
古い、歴史ある、苔むしたり崩れかけたりした墓の一画がいちばん真ん中の、いちばん accesible ないい場所を占め、新興の(といっては変か)ぴかぴかの綺麗な墓になるほどいわば郊外へ追いやられてる。
そういうのがものすごく正しく、健全に感じられて、見ていて気持ちいい。
新しいものばかりもてはやして古いものを簡単に壊す日本のやり方に、嫌気がさした反動で。

かなり広大な敷地のなかにひとつ、それは意外にも<郊外の>新興墓地の区画のなかなのだけれど、全く知らない人のなのにものすごく強烈な印象があって忘れられず、来るたびに訪ねないではいられない墓がある。
23才で亡くなった女の子の墓なのだ。
なんだか知らないけど、とにかくふつうを超えた、激烈な愛され方をされていたことが明らかな。・・・

まず目を引くのは、墓の前にずらりと列をなしてごてごてと置かれた造花やら置きものやら天使の人形やら。
まわりの十倍くらいの勢いで、度肝を抜かれる。

それから凝った墓碑、悪趣味なまでに色々と、彼女が生前好きだったらしいオウムだとか色んなものがカラーで描きこまれているうえ、彼女のポートレイトも。
それがありえないくらいぶくぶくに太った姿で、よくこういうのカラーでプリントする気になるよなと、素朴に思ってしまう。

In Loving Memory of Lisa Jane Pledger
Born 15.4.1978
Died 22.6.2001

a very special daughter
a loving sister
a dear granddaughter
aunty, niece and cousin

If tears could build a staircase
and memories were a lane
I would walk right up to heaven
and bring you back home again...

5年前にメモっておいた墓碑銘。
愛情を通り越して、恐いほどの執着を感じる。
ここまで激烈な文句を連ねた墓碑銘ってほかには見たことない。
これほどの愛され方をしていたリサ・ジェーン・プレジャーっていったいどんな女の子だったんだろう?・・・

今回また足を運んで、なんかようすが違うなと思ったら、となりに、それに輪をかけてすごい仰々しさの同じような墓碑が出現していた。
彼女のお父さんの墓碑なのだ。
やはり写真がプリントしてあった。
遺伝的に太りやすく、病気になりやすい体質だったのだろう。
全くの他人なのに、なにか家族の歴史を見守っているようなふしぎな気もちになった。

あんなに若くして亡くなって、気の毒な子。
でも幸せだなぁとも思う。
あんな美しい町の、美しい墓地で眠れて。
ちょっと憧れる。

私にはまだやることがあるし、それは自分で決めたことじゃなく、<彼ら>から与えられた使命だから・・・
だからたぶんまだしばらくは生きて、果たしていかなくちゃならないと思うけど。

でも、いつか、この生でなすべき仕事を果たし終えたあかつきには、願わくばあんなところで。・・・

でもなぁ、やっぱり。
正直、一ヶ所にはまだ決められない。
そう思える大好きな場所が、この国にはいっぱいあるんだもの。

ウェブアルバム https://picasaweb.google.com/107799758412385197472
     

Posted by 中島迂生 at 02:21Comments(0)英國紀2011

2011年06月25日

旅行メモ2011 その16 サフロンにて4

24 Apl, Sunday

サフロン二日目、Town trail... 町のあちこちを歩いてまわる。

通りを渡ってすぐのところに町の教会があって、日曜の礼拝の賛美歌が歌われている。
日を浴びた芝生の上でしばしごろっとすする。

中世そのままの市庁舎の裏にはスタバがあって、でも外観も内装も前からあった建物そのまま。
コーヒーとブルーベリーマフィン £3.25-

色んな人びとが出入りするの、見てて楽しい。
若いカップルも、年取った夫婦も来てお茶飲んでゆっくりしてあれこれ喋ってる。
なんかやってることがみんな変わらなくて微笑ましい。
サイクリストたちの一団がさしかかって、みんなで店の外のテーブルでコーヒーを飲んでいたりもした。

それから以前も何度も来てる、Audley End へ向かう木立とメドウのフットパスをずーっと辿る
この道、あの木戸、ここで流れを渡って
 原っぱをひとつふたつ抜けて
流れとレンガ塀にはさまれた小暗い木立の道
休みの日で人がいっぱいの敷地内の広大な庭を抜けて
そのまままたレンガ塀に沿って町に戻る
家並の中を通るフットパスを抜けてハイストリイトへ
Quite a long walk

渇いた喉をエールで潤したくてカウンターで待っても、いっこうに注文をとってくれないパブに愛想尽かして
中東系の人たちがやってる町のケバブ屋さん
A.B.C.BBQ in George St.
チキン・チップス £2.50-
前来たときと味も値段も変わってない
ひょっとしたら店員さんも変わってなかったかも

それからこれも変わらない、ポスト・オフィスにもなってるCostCutter で色々買い物して帰る。

レセプションにはマイクと、もうひとりのスタッフのサムという若い男の子がいて、色々喋る。
サムはオーストリア人で、彼女がケンブリッジで勉強してるのだという。
サフロン周辺は美しい町々がいっぱいあるのに、仕事に追われてあまりあちこち行ったことがないという。

会話はいまだに得意じゃないのだけど、マイクたちとはふつうに喋れる。
というか、むしろ話すことが次から次へ、とめどもなく溢れてきて、どこで会話を打ち切ったものかいつも悩む。
感性が似てると知ってリラックスしてるというのもあるだろう。
たぶん変な言い回しもしてるのだろうけど、ふつうに意味は通じてるし、相手があまり気にしてる風もないのでこちらも気にならない。

また、マイクが日本行ってみたいという話になった。
日本行って何したい?
と聞くと、温泉入ってみたい。と。
スノーモンキーのいる温泉があるんだろ?

えっ、スノーモンキー?

しばし固まったが、ニホンザルが頭に雪かぶって温泉に浸かってる図と合点。

ああ、スノーモンキーね。
猿といっしょに人間が温泉入ってるようなとこもありますよ。
ずーっと山奥行くとね。

と言うと、二人して大受けしてる。

じゃ、マイク、<渡航の目的>の欄に、「猿といっしょに温泉入りに」って書けるよ。
とサムが言う。
マイクが猿といっしょにいたら、どれが猿だか分かんなくなるね。

部屋に戻って、ビールを飲んで、疲れて少し眠った。
私はこの町に何しに来てるんだろう?

この町は、ただいるだけでいい。
ただ再びここいいることを楽しみたい、味わいたい、それだけ。

でも、あれから5年もたっているんだもの、少しは記録も残すべきじゃないかな。
そう思うと、ちょっと心が重い。
この町に来たんだからあれやらなくちゃとか、あそこ行かなくちゃとか、あそこの写真を撮らなきゃとか、そういうの、ちょっとイヤだな。
でもやりたいし。・・・

こういう美しい町にほんとに住んで生活してるということが、どういうことなのかほんとうには知らない。
期限なしで今日も明日も、ずーっとここに住んでるんだぜこの人たち。
ほんとに同じ人間なのか? みたいな。・・・

たとえばひとつの町に越してきて、だんだん行動半径が広がって、色んな店や道を知っていく。
そういうスポットが、この国には5つも6つもある。
訪れるほどに、さらに増えてく。
だからまだとても飽きられないよ、ムリだ。
サフロンでさえ、まだ知らない小路があるもの。

夜、またぶらっと出掛けたら、宿より町の外側にまた一本、Swan Meadow Park へ通じる道を見つけた。
この道、前に知ってたかな?
絵に描いたような古い街並み、ほんとにすてき。
これは明日、写真を撮りに来なくちゃ。
あまりにのどかでラヴリーで、少し悲しくなって帰る。・・・

ウェブアルバム https://picasaweb.google.com/107799758412385197472
  

Posted by 中島迂生 at 23:17Comments(0)英國紀2011