2020年09月29日

パリで天丼を探す



画像は、「てんや」さんのサイトより。
いちばんベーシックな「天丼」で、かつ私の中の「天丼」のイデーでもある。。

ほんと言って、ふだんの私は、そこまで天丼なしで生きていけない人間ではありません。
今年の前、さいごに食べたのは、2014年の6月くらい。
けっこう覚えている。
その頃私はまだ日本にいて、毎週日曜には東神奈川まで、フィギュアスケートを習いに行っていた。
で、ある日曜、帰りに「てんや」で天丼を食べたわけです。
それだって、相当久しぶりだったと思う。
その前に、いつ天丼を食べたか、覚えてないくらいです。

それから毎年、夏に日本へ帰っても、とくに天丼を食べようとは思わなかった。とくにその存在について考えなかった。
でもなぜか、この夏は食べたいなと思ったのです。
それで、今年の「日本に帰ったら食べたいものリスト」に加えていた。

いちばん食べたかったピークの頃、どうやらこの夏は帰れないということが決定的になって。
ほんと、あの頃は、「日本に帰りたい!」っていう思いと、「天丼を食べたい!」っていう思いがごっちゃになっていて、ちょっとおかしくなっていた。

それで、「とにかく一刻も早く天丼を食べなきゃ、話はそれからだ!」みたいになって、天丼を食べられるお店をいっしょうけんめいに探しました。
ふだん、こちらでは和食もめったにつくらないし、日本食レストランにも行かない。
だからよく知らなくて、ほんとに一から探す感じ。




さいしょに食べたのは、6月の終わり、ジョルダンの日本食レストラン、<中川>。



ここのご主人は、天久保の<ボラーチョス>のオーナーのやすおさんのおじさんなのです。
パリに住んだばかりのころ、別店舗で何度かお会いしたことがある。
この日もお店にいらっしゃいました。



こちらの天丼は、海老天が何と3本も入って(!)、野菜の天ぷらもたっぷり入って、みそ汁とサラダつきで15ユーロ。
海老天のエビはほとんど半生くらいの絶妙な火の通りかげんで、芸術作品のよう。
どう考えても二人分はあって、食べきれず、半分は持ち帰りにしてもらって、夜ごはんにしました。

ただ…これは個人的な好みなのでしょうが、個人的にはちょっと、たれが薄すぎて、甘すぎて、天ぷらもごはんもべちゃっとしてしまって、残念。。
…しょうゆを足していただきました。




帰りに、ジョルダンの駅の周りをちょっとぶらぶら。



教会があって、カフェでは人々が楽しげにくつろいで、気持ちのよい夏の日でした。



ただ、自分のうちからはなかなか、メトロの乗り換えが複雑だったりして、遠くて気軽に来れないのが残念。。

   ***



もう一軒、こちらは8月半ば、オペラ地区の<金太郎>。
この夏は、日本書の書店があったり、日本食のお店があったりするオペラ地区によく来ました。
そんなとある一日、ふと通りがかったらメニューにあったので。。



こちらの天丼は、単品で14ユーロ。
やっぱり海老天が3本も入っています。
でも、野菜天は添え物ていど。
量的にはちょうどよくて、完食。
この日も天気がよくて、気持ちのよい青空の一日。。



ただ…個人的には、やっぱりたれが薄すぎて、甘すぎて。
天ぷらもごはんもべちゃっとしてしまって、…やっぱり、しょうゆを足していただきました…うーん。。

個人的には、やっぱり<てんや>の天丼が好き。
「ふわふわ」よりしっかり「さくっ」っていう方が好きなのです。
ごはんはしっかり硬めが好きだし、たれはしっかり濃い目が好き。。

ただ、いろいろ見ていると、こうしたお店も、パリの人たちの好みに合わせているみたい。
日本人だけ通ってもしょうがないわけで、パリでやる以上は、フランス人の味覚に受けないと商売にならないですものね。
それはまぁ仕方のないことです。。

   ***

そんなことがあって、二軒とも、それなりに美味しかったのですが、やっぱり自分好みの天丼が食べたくて…
それで柄にもなく自力で天丼制作に挑戦、という事態に至ったわけです。。



初回は、ろくにレシピも見ずに自己流でやってみたところ、さんざんな結果に。。
精製食品アレルギーなので、家でつくる以上はできれば白い小麦粉は使いたくなくて。
いつも食べてる全粒粉のライ麦のビスコッティを砕いて粉にして、それを衣にして揚げてみた。
そしたら、揚げてるあいだにどんどん衣が身から剥がれて、鍋の底に沈んでしまい。。
あれは、油の温度とかの問題だったのかな?
それとも、そもそも天ぷらに全粒粉というのが無謀だった??



でも味は美味しかったです♪
たれも濃い目に、砂糖フリー。
ごはんも玄米で。。
家でつくると、自分好みの味つけにできるのに加え、精製食品フリーでできるのがほんとにうれしい。。

まだまだ道半ば。。でも、けっこう、気は済んだ。
いつかまた挑戦したいと思うけど、油の始末とか面倒なので、当分やらないかな。。

この夏、日々が過ぎるにつれ、少しずつ学んだのは、こんな感じのことなんです。
日本に帰れなくてもこちらでおいしい天丼を食べられたら、少なくともそのことに関しては、日本に帰れないことの埋め合わせになる。

同じように、「日本に帰ったらあれを食べたいな」とか「これをやりたいな」と思っていたこと。
それらをひとつひとつ、こちらで何とか手に入る範囲で、まずやってみたり、買ってみたりしてみる。
それから、同じことを好みにカスタマイズして自力で再現できないか、ロビンソン・クルーソーのようにいろいろ試行錯誤してみる…。

日本に帰れていたら、安穏と「享受」するだけだったいろいろな喜びを、こちらでは一から自分で動いて、探して、創り出していかないといけない。
方法論も分かってないから、いちいち時間と手間がかかります。効率も悪い。
でも、そうやって、自分にとって「日本に帰る」ことを構成するレンガをひとつひとつ、この手で再構築していったのです。
そうするしかなかったのです。
そうやって、ちょっとずつ、自分で自分を絶望の淵から引っぱり上げていったのです。。

























  

Posted by 中島迂生 at 04:39Comments(0)巴里日記2020夏

2020年09月28日

パリでモンブランを探す

スイーツつながりで、ちょっとモンブランのことを書きたいと思います。
毎年、この時期はまだ日本にいて、モンブランが美味しい季節。
しばらく前からモンブランモード…。

ところが、こちらのパティスリーなど、通りがかりに覗いてみるのだけど、モンブラン、置いてるの見たことないのです。
なぜ?? そもそもモンブランってフランス生まれのはずなのに。

モンブランって、そんなに改まって探すほどのものでもなくないですか?
コンビニやそのへんのお菓子屋さんで、ふつうに目に入ってきて「あぁ、秋だなー!」って思うようなものでは。



たとえば、こちらは数年前の日本滞在のとき。
セブンのモンブラン、甘すぎず上品な味わいで、何度かリピ買いしたもの。
こんな感じのを、クロワッサンを買うように、ちょっとその辺で買いたいだけなのに。。

あまりに全然見かけないので、業を煮やして検索してみたところ…
<アンジェリーナ>っていう、モンブラン発祥の老舗のパティスリーが、ルーヴル・リヴォリにあるらしい。
しかし、それしか出てこない。。
…えーっ、<アンジェリーナ>一択ですかー?!
そんなわけないでしょうー!!
何でちょっとモンブランを食べたいだけなのに、わざわざリヴォリまで行かなくちゃならないんだろう…。



まぁでも、仕方ないから、一度くらい行ってみるか。。
というわけで、先週末、腰を上げて行ってきました。



<アンジェリーナ>本店、チュイルリー公園の横にあって、メトロも<チュイルリー>がいちばん近い。
「いつも並んでる」ってネットには書いてあったけど、午後なのに誰も並んでいなくてすぐ買えました。
レストランになっている店内もがらがら。



看板メニューのモンブラン、お店で食べると9ユーロくらいするし、飲み物も9ユーロくらい。
持ち帰りだと7ユーロなので、持ち帰りにして、となりのチュイルリー公園で食べました。



あったかい日で、みんなまだ夏服でしたが、木々の梢はもう秋の色。。



モンブラン1個のために、大げさな紙袋と箱と…。過剰包装すぎ。90年代かっ。。



しかし、中のモンブランについた小さなプレートは、逆さま。。
(この辺のゆるさがフランスらしい。。)

結論から言うと…
残念ながら、あまり私の好みではありませんでした。
マロンクリーム、重たすぎるし、甘すぎ。
中のクリームは、甘くないのはいいが、牛乳の匂いが気になる。。(←牛乳苦手な人)
土台はメレンゲなのですが、私はやはり、スポンジかタルト生地かパイ生地がいいなー。
私、モンブラン相当好きなはずだったのに。
まさかの、完食できないという事態に。。

私はやっぱり、日本のセブンのモンブランのほうがいいな。
薄茶色の、マロンクリームも生クリームも甘さ控えめなやつ。。
…と思いつつ、帰ってから検索してみると、記事のさいしょで上げたようなタイプのはとっくにリニューアルされて、なくなってしまったようで、現在はカップケーキのような仕様に変わっていた。
…うーん。。諸行無常…。。



でも、ちょっとうれしい発見もあったのです。
まったく関係ない、歩いていける近所のスーパーで。
前から気になっていて、さいきん思いきって買ってみた、剥き栗の瓶詰め。
Châtaigne pelée au feu.
3ユーロほど。



砂糖も何も入ってなくて、栗100%なのです。
なのに栗じたいのいい香りがして、甘くて美味。。
そのままで、とまらないおいしさ。
正直、<アンジェリーナ>のモンブランより、こっちのほうが100倍好き。。
これを発見できたので、とりあえず満足です♪





















  

Posted by 中島迂生 at 00:26Comments(0)巴里日記2020夏

2020年09月27日

パリの家ごはん(4)和スイーツづくり

前記事にも載せましたが、個人的スイーツ問題について、も少し詳しく考察してみようと思います。



この夏、はじめてつくるようになった和スイーツ。
やはり、和スイーツの基本って「あんこ」なのではないかと。。
かといって、パリでそうそう、小豆なんか手も入るわけもないのです。

こちらのあんこの原材料は、小豆じゃなくて、缶詰のアリコ・ルージュ(赤インゲン豆)。
アリコ・ルージュの缶詰は、70セントくらいで買えるし、そのままでもおいしいので、よく買う。
鍋であたためると、お汁粉みたいな香りだなっていうのは前から思っていた。
豆だし、赤いし、小豆の親戚って感じだからフシギではない。
これ、お砂糖を加えて煮込んで、潰したら、粒あんみたいになるのではないかなと。。

やってみたら、スプーンで潰すのに少し手間がかかるけれど、出来上がりはほんとに粒あんそのもの。
隠し味でちょっぴりしょうゆも加えたら、いい感じ。
さすがにあんこをつくるのにバルサミコを入れる気にはならないので、お砂糖を入れたけど、自作だと調整がきくので、控えめにして、やさしい甘さに。
ガラス器に少し玄米を入れて、上からあんこを載せ、おはぎ的に。。
緑茶と、ありあわせのフルーツを添えて。
こうして和スイーツも自給できるようになった! うれしい。。

私にとってはこのスイーツ、「塩豆大福」的なところに位置するのです。
日本に帰ったときには必ず買うやつ。

塩豆大福の構成を考えるに、
あんこ+おもち部分+塩豆(赤エンドウ豆)。

あんこはこうして赤インゲン豆で再現できた。
おもち部分のもったりとしたテクスチュアも好きですが、そこまでどうしてもっていう拘りではない。
玄米で代用しても大丈夫。
精製食品アレルギーの私にとってはむしろそのほうがいいくらい。

問題は塩豆の赤エンドウ豆。
いろいろ探してみたけどフランスではどうも一般的でないらしく、何か別のもので再現できないか研究中。。

    ***



こちらは、はじめてつくったあんみつ。
あんこができるようになったから、あんみつもできるんじゃないかと思って、やってみた。
アリコ・ルージュの缶詰でつくるいつものあんこと、生まれて初めてつくった寒天と、マスカットぶどうと、缶詰の黄桃で。
画像では見えないけど、下に寒天が隠れている。

あんこは、いつものようにアリコ・ルージュの豆缶を火にかけてつぶし、控えめのお砂糖と、ちょっぴりのしょうゆを隠し味に。
寒天は、オペラで買ってきた粉末。
湯沸かしでお湯を沸かして粉末を溶いて、しばらく冷ましたあと冷蔵庫で2時間ほど。拍子抜けするほど簡単だった。量の割合さえ間違えなければ問題なし。

あん+フルーツ+寒天のハーモニー。
ひと口ごとに、2種類くらいの組み合わせでスプーンに載せるのだけど、どの組み合わせで口に入れるかによって万華鏡のように味が変わる。
あん+フルーツも久々の味わいだし、寒天の仄かなすっぱさも、忘れていた味。ぶどうといっしょに食べるとぶどうの甘みがより引き立つ。
窓に座って風に包まれながら、心みたされるスイーツタイム。

あんみつの具は何が好きか、っていうのは人それぞれだと思うけど、私の場合は、今回入れたあん、フルーツ、寒天のほか、あの固めにゆでた豆と、淡いピンクとグリーンの求肥が好き。あと黒蜜も。
豆は、あれ何の豆だか知らなかったのだけど、調べてみたら赤エンドウ豆なのだって。
塩豆大福の豆と同じだー。

逆に、アイスクリームや白玉は、あんみつには入っていてほしくないのです。
アイスと白玉は、かき氷にも入っていてほしくないし、お汁粉にも、白玉は入れないでほしい。
アイスはアイスだけで食べたいし、白玉は…ふつうに串団子とかだったら好きなのだけどな。
けっこう面倒な性格w

というわけで、中島迂生的理想のあんみつは、

・あんこ、粒あんで甘さ控えめ
・寒天
・黒蜜
・赤エンドウ豆、固めにゆでたやつ
・フルーツ:基本、何でも。ただしバナナはNG。桜んぼはあってもなくてもOK、ただし入るなら必ず柄もついていてほしい。
・求肥、淡いピンクとグリーンの。

・アイスNG
・白玉NG
・生クリームNG

こんなところ。。
こんなうるさいこと言ってると、お店で理想のあんみつを探すのは、難しそう。
私、宇治金時に関しても同じ問題があってw
白玉やアイスの入っていない、練乳も入っていない、純粋に抹茶かき氷とあんこだけの真正宇治金時を探していつも苦労している。。
でも、いつか理想のあんみつや宇治金時に、鎌倉の老舗の甘味処あたりで出会えたらいいな。。



たとえばこちらは、(行ったことないけど行ってみたい)鎌倉の<無心庵>というお店のサイトから。
https://mushinan.chobi.net/sub1.html
こうしてみると、あんみつにはほうじ茶、ベストマッチ!って思います。
あ、でも、アイスも載ってる!
なんかやっぱり、絵的にはアイスも載っていたほうが華やかですねw



こちらは、数年前に行った柏の某モールに入っていた和スイーツ屋さん。
モノトーンで決まっていて、こちらも絵的に美しい。
黒ごまアイスは、いいな。
アイスのなかで、黒ごまアイスだけは和スイーツに認定。
これはあんみつに入っていていい!w
きっと、こんな画像の記憶が頭にあって、それであんみつを作ってみたくなったのね。

そうそう、オペラの日本食のお店で、パックのあんみつセットみたいの見かけました。
豆、入ってるかな?って見てみると、…2粒…。。
2粒じゃ、寂しいなー。

ともかく、ここまでで、共通の課題は「赤エンドウ豆」だ。
「赤エンドウ豆」問題、なかなか手ごわいぞ。。
まぁ、でも…ここまでできたんだから、そのうち何とか解決できるんじゃないかと思ってます。

和スイーツとしては、私、わらび餅や胡桃ゆべしも大好き。
でも、自作するにはちょっとハードルが高そうなので、…またの機会にします。。

    ***

あともうひとつ、これは甘くないので「スイーツ」に分類するのか微妙ですが、私にとっては重大な「黒豆せんべい」問題。
こちらは岩塚製菓さんのサイトより。

 
https://iwatsuka.jp/kuromame/about.html

私、この塩味の「黒豆せんべいが」大好きで、日本に帰ったときはほぼ常備しています。
堅い豆の歯ごたえが好き。
朝ごはんに桃といっしょに食べたり。
けど、こちらでは手に入らない。どうしたものか。。



こちらで手に入る中で、いちばん近いのはこんな感じのかき餅で、これはこれで美味しい。
けれど、これもわざわざオペラまで行かないと買えないし、日本の2倍くらいするのは同じ。
近所でリーズナブルに手に入る食材で、何とか再現できないかな。

「せんべい」の部分は、いつも食べてるライ麦の全粒粉のビスコッティに、オリーヴオイルとしょうゆをたらすとけっこうそれっぽい味になることを発見。
しかし、問題は「黒豆」部分。
ここがいちばん重要なところなのに。
あの固い歯ごたえは何でどうやって再現したらいいものか。
やっぱり問題は豆だ。

私、大福にしろ、せんべいにしろ、結局それ自体がそこまで好きじゃわけじゃないのだと思うの。
やっぱり、豆が入ってるから好きなのよね。
豆、偉大なり。

そんなわけで、日本での私のお供、黒豆せんべいや塩豆大福。
いつか、こちらにいても自力で手軽に調達、もしくは自力でつくれるような方法論を確立したいものです。
研究はつづく。。
























  

Posted by 中島迂生 at 22:08Comments(0)巴里日記2020夏