2018年08月17日

竜一点描 あとがき


この記事は、前記事の小品<竜一点描>についての覚書です。

これも、前から、このブログにアップしようとずっと思っていたのです。
竜一高という高校での、日々のちょっとした思い出や、先生たちの言葉なんかについてまとめたもの。
もっと昔の作品や、大学の卒論などもすでにアップしたのに、こちらは後回しになっていた。
今回この機会にやっと、中島迂生ライブラリーに加わりました。
当時は、「いまのこの気分をちょっとカプセルに閉じ込めておきたい」くらいの気持ちだった。
でも、カプセルは、しまいこんでおくばかりでなく、ときどき開けてみないとね。

この小品、読んだいろんな人から好評で、こんなに喜んでもらえるんだな…ってうれしかったものです。
でも、個人名を記さなかったから、数年もたてば、誰のことを書いたのか分からなくなってしまうだろう。
当時からそれは思っていて、でも仕方ない、それでもいいと思っていた。
そして、ほかの作品とちがって、完全に内輪ネタ。
読んでもらえるとしても、楽しんでもらえるとしても内輪だけ、と思っていた。

けど、これタイプしながら思い出したのだけど、大学生になってひとり暮らしを始めてから、同じところに住んでる子に、読んでもらったことがあった。
その子、関西の人で、私の高校のことなど何も知らなかったのに。
これを読んで、泣き出してしまった。
「自分の高校生活はただ勉強ばかりで、大切なことを忘れていた」って言っていた。
意外にも、けっこう普遍的に訴えるところがあったみたい。

今回タイプしてると、ここには書いてなかったさらにこまかいいろんなことが、どんどん思い出されてきた。
1年のときのクラスメートが立ち上げた演劇部。
<半神>があまりに大作で印象的だったから、その一部を載せたけれども、初演の<銀河鉄道の夜>もほんとによかったな。
漆黒の闇にかがやく蠍座の赤い星が、いまも目に浮かぶようです。

小論の練習で書いた幽玄論は、もっていった日、いつも見てもらっていたO先生がいなくて、代わりに教頭先生だったかな? 
「じゃ、私が見てあげましょう」といって、見てくれた。
ひととおり目を通して、返してくれて、「すばらしいですね」と一言。
そのあとの言葉を待っていると、…それで終わりみたいだった。(えっ。)

音楽のことを書いていたせいか、そのあと、「音楽っていいですよね」という話に。
「私はクラシックが好きで、よく聴きます。<マタイ受難曲>なんか私の宝物です」とおっしゃった。
そして、「じゃあ、がんばってくださいね」と、送り出された。
…ポカーン。…(それで、私、何の指導を受けたのかな?)

でも、考えてみると、<マタイ受難曲>が宝物って、素敵な感性ですよね。
「にじくん あいしてる。」に通じるところがあります。
私、やっぱり最高の指導を受けていたんだなって思います。今にして思うと。

とくに言う必要のないところでは、あえて言わない、というのもいい。
ともすると、我々、とくに問題なくても何かひとつくらい文句つけないと、自分が仕事してないような気持ちになったりしません?…

それにしても、なぜ今なのでしょう。
私、なぜ今、あらためて高校のときのこと、思い出しているんだろうか?
っていうか、なぜ今まで思い出さなかったの?

転任されたりしてしまった先生たちについては、もう会えないなって諦めてた部分もあったけれど…
たぶん、あまりに居心地よかったからこそ、終わったらもう後ろを振り返っちゃいけないと思っていた。
現実の中へ、出ていかなきゃ。
前だけ向いて、生きていかなきゃって。
高校へ遊びにいくときもいつも、どこか過去に逃げてる、甘えてるという思いがあった。

でも、それからずっと走りつづけて、時が流れて、いま…あたし、けっこう頑張って今まで生きてきたよね?
このへんで大好きだった場所のことをもういちど、ちょっと振り返ってもいいよね?
それくらいのことは、許されるよね? っていう思いがあるのだと思う。

少し前、知り合いがFBに自分の高校のときのこと、書いてるのを目にしたこと。
きっかけは、たぶんそれ。
思うにそのあと、潜在意識が記憶の中を掘り進めていたのだろう。
それから数日して、竜一高のこと、思い出している自分に気づいた。…

それにたぶん、いま私はまた、新しい季節の戸口に差しかかっている。
18の頃みたいな、先の見えない苦しさはないとしても。
これからどういうスタンスでいくか、戦略を練るにあたって、自分の過去を見つめ直したい、
自分の出自のひとつ、よりどころのひとつとなってる場所のことを思い出したい、
というのがあるのだろうな。

ときには過去を振り返ってもいい。
いつだって、学ぶことはある。
上に立つ者がどういうふるまい方をしたら人が動くか、とか、けっこう永遠のテーマだし。
正直に見つめてみることで、現実の姿をつかめたりもするし。

そして、やっぱり。
こんなにも与えられてきたもの、してもらってきたこと…
こんなにも信頼されたこと、無条件に受け入れられたこと、気遣ってもらったこと…
そういうのは、どんなに時間がたっても、忘れない。
いつまでも、絶大な力になる。
どこへ行こうと、これからもずっと。





























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この記事へのコメント
ただ、ただ、ありがとう。まずは御礼まで。
Posted by 小幡法男 at 2018年08月18日 20:17
いえいえいえ! こちらこそです。
Posted by 中島迂生中島迂生 at 2018年08月20日 01:51
 
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