2008年09月30日

初顔合わせ敢行!

 急に寒くなりましたね~皆さまいかがお過ごしですか。
 28日、集まっていただいた皆さま、ほんとにありがとうございました! 和やかななかに話も弾み、おかげさまで、9月中にいちど顔合わせするという目標を、なんとか果たすことができました。

 この日、出席は5名。

 とりあげた事項・・・レギュラーの練習日・場所の設定。
            人員調達。
            大道具・小道具・衣裳等の調達。
            照明器具・プロジェクター等の調達。などなど。 


 それと、お集まりいただいた方々にお話ししたことですが、せっかくアイルランドを舞台とした演劇をやるからには、いつかはほんとに、アイルランドでやりたいのです。それほど遠い将来のことではなく。
 そんなに大それた目標ではないと思っています。さいきんおつきあいするようになったさる団体の職員さん一名がバリリーに参加表明してくださっているのですが、彼らは(演劇というジャンルではありませんが)すでにアイルランド公演を果たしているのです。身近にこういう方がご協力いただけるので、勇気百倍です。
 ぜひ皆さん、いっしょにアイルランドへ興行しにいきましょう。


 以下は座長の個人的感慨です。

 このたびの初ミーティング、もう、先に日取りを設定してしまうしかない! ということで決めてしまい、それに向かって必死に脚本書きしたここひと月でした。
 途中、パソコンがダウンしてしまったり、いろいろとトラブルもあり、ぎりぎりまで頑張って結局半分までしか行けなかったですが、とりあえずできる限りのところまでやったと思っています。

 当日、ばたばた準備しながら、ミーティング場所へ向かいながら、当の自分が遅刻したらシャレにならないぞ! とめちゃくちゃ焦っていた反面、同時に私はものすごく幸せで、かつ感慨深かったのです。
 こういうのをずっと思い描いていたから、いつか自分はこういうのをやるだろうって、ずーっと前から思っていたから・・・ それが今少しずつ実現しつつあるんだなぁと。
 三々五々、集まってきてくださった皆さんを前にお話ししながら、私はほんとに幸せでした。
 とりあえず、始めた! 物事が動きだした! という手ごたえがありました。

 座長の責任に、身も引き締まる思いです。
 これからは一劇団の代表者として、自覚をあらたに、まわりのあらゆる人々に礼を尽くし、たえずふさわしい言動をしてゆかなくては。

 立ち上げ宣言をしてからというもの、色んな人が会うたびに「劇団のほう、どう?」と声をかけてくださいます。ほんとにありがたく、うれしく、励みになっています。
 こんなふうに多くの方々の励ましやご協力をいただけるようになったからには、とにかく頑張ります! 
 ということで、ここにて決意表明を。

 中島 迂生  

Posted by 中島迂生 at 14:56Comments(0)バックステージ

2008年09月15日

つくば近辺、つづき


 こんばんは。ひきつづき。


○金色姫物語(こんじきひめものがたり)

 こちらは7月半ば、つくば市にて。
 <金色姫>は筑波山に伝わる養蚕業の起源を説いた伝説。
 これをモチーフに絵を描いてこられた画家の方の主宰になり、絵画展示・朗読・創作舞踊・音楽のコラボレーションといった企画でした。

 創作舞踊の若い女性はたったひとりで、場面ごとの朗読に合わせ、さまざまに衣装を変えつつヒロインから野獣たちからはては蚕のようすまで工夫して表現してらっしゃる。
 きちんとつくりこんで堂々とやれば、ひとりでもじゅうぶん鑑賞に堪えるんだなぁとあらためて。
 そういえば、こういう構成は能に似ているかも。
 踊りの部分はいろんな要素、ベリーダンス、バレエ、フィギュアスケートなんかの動きをミックスした感じだったかな。
 優美なシルエット、しなやかな動きとあいまってすごくセンスのよさを感じました。

 音楽は、田楽とかそういう系で、私はあまり詳しくないのですが、こちらも耳にこころよく、センスのよい構成だなと思いながら聴いていました。

 照明も、シンプルながらよく考えられて効果的でした。ふつうの白色灯のみなんですが、数か所に設置して場面によって照らし方を変えて。

 背景には、主宰者の画家さんの、物語のそれぞれの場面を描いた絵を一堂に集めて掲示。
 それはそれでまったく違和感ないのですが、ただ・・・
 これは個人的な印象なんですが、一枚一枚がけっこう小さく、遠くからだと何が描いてあるのか見づらかったので。・・・
 できたら場面ごとにその場面の絵一枚だけを、スライドプロジェクターかなにかで拡大してばーんと背景に掲げる、というようなことを、画家さん自身もほんとはやりたかったんじゃないかな。

 同じ方の、筑波山を描いた連作が会場内にいっぱい展示してあって、すごく綺麗だった。澄んだ色づかいで、くせのないのびやかな筆づかいで。
 全体として、とてもよくまとまった、いい感じの企画だったと思います。


○自然生(じねんじょ)クラブ

 金色姫企画の大方を担当していたのは自然生クラブ。
 筑波山のふもとにグループホームを構え、知的ハンディキャップをもつ人々とともに有機野菜やお米をつくりながら音楽や舞台芸術に携わっている団体です。

 実はこの日、バリリー座の団員募集チラシを配っていただいたところ、音楽を担当されていたメンバーのひとりが興味をもって連絡してくださり、わが劇団にご協力いただけることになりました。
 しかも、あとから知ったのですが、彼らは田楽舞のステージを披露しに、2007年にアイルランドへ行ってらっしゃったのでした。
 これもなにかのご縁でしょう。舞台経験豊富な方のご参加で、ありがたい限りです。
 

 金色姫の会場に展示されていた絵の、鮮烈な青空と緑の夏山を眺めているうち、こんなきれいなところに暮らしている自然生クラブを訪ねて行ってみたくなりました。
 そこで見学を申し入れると、こころよく受け入れてくださり、8月の終わりごろ遊びに行ってきました。

 絵そのままの緑ゆたかな山景色、鄙びた家並のつづく筑波路、そちこちに点々と、むくげやさるすべりの濃いピンク、なんとも風情があってよい感じです。
 急な山道を分け入ったところにある建物や、団体の畑、田んぼ、蔵を改築したミュージアムなど、丁寧に案内してくださいました。
 時間の流れ方がなんともいえずゆったりとしていて、心地よさについ長居しすぎてしまいました。

 同時に、こんな理念ある体制づくりをしてこられた施設長さんというのはどんな方なのだろう、と少なからず関心をもちました。
 というのは、ある意味、この方のやってこられたことというのは、自分がこれからやろうとしているのといくらか共通する部分がある、と感じたからです。

 といっても、私は今のところグループホームとかをつくる予定はありません。
 けれども、分野は違っても、はたから見るとどう考えてもたいしてお金になりそうもないことを、どうしても内的必然性があるので推し進めていくしかない、やり遂げていくしかないんだ、みたいな、そういうところ。
 そういう部分に、すごく共感を覚えましたし、尊敬の念を感じたのです。

 実はこのとき、会報誌みたいのをいただいていて、そこに施設長さんはじめスタッフの方々が四季折々の所感を綴ってらっしゃった。
 で、それを興味深く拝読していたのですが、その後、さらに施設長さんのお話を直接うかがう機会に恵まれました。
 文章の印象どおりに知的でもの静かな方でした。
 公演で行かれたアイルランドの風景や、そこで触れたアイリッシュのダンス・チューンなども愛好してらっしゃった。

「フィドルっていうんだっけ、あれ。
 1回、2回おなじメロディーを繰り返して、3回めにちょっと変えて弾くのね。」

「アイルランドの風景、好きですよ。
 ・・・何もなくて、ぽっかりと空が広くて、一面荒野が広がっていて。
 そのあと東京に戻ってきたら・・・すきまもなくぎっちり建物が並んでいて、なんだか息苦しくなっちゃってね。」

「学校は教えるところじゃない、学ぶところだと思ってる。・・・
 いまの一般の学校教育って、次から次へと色んなものつめこまれて、立ち止まることさえ許されない・・・それこそ、東京の街並みみたいに。あとからあとから急きたてられて、・・・結局、急いで死ね、みたいな。
 自分の人生を生きることを許されない・・・それってとても残酷なことじゃないだろうか。 」

「オリジナルなものっていうのは、何もないところからしか生まれてこないんじゃないだろうか。・・・アイルランドの平原みたいに。ほんとにその人独自なものっていうのは。
 司馬遼太郎がなんか書いてたけど・・・アイルランドの風景っていうのは、何もないからこそ想像力がかきたてられて、・・・物語に充ちてる、ってね。
 自分でつくるものって、尊いでしょ。・・・オリジナルなものかどうかはともかく、自分でつくるものはひとつしかないし、大切にする。」

 いきなり外から来てこんなことおききするのも大変失礼なのですが、と、このとき私は実際おききしてみたのです。いったいどんな心意気で、こういう共同体を運営してらっしゃるのだろうか。
 すると、考えながら、こんなふうに答えてくださいました。

「商業ベースでやることは考えない・・・お金もうけのためにやってるんじゃないし、別に有名になりたいってわけでもない。
 じっさい、今でも色んな問題がある。
 でも、自分たちだけじゃなく、ほかの色んな人たちの力添えがあってやっていることだから。

 ものごとっていうのはね、うまくいってるときにはみんなついてくるものなんです。
 でも、うまくいかないときに支えてくれる人っていうのは・・・。

 我々は、苦しいときには苦しいって言う。困ってるときには困ってるって言う。
 うまくいかないときに、うまくいってるようなふりをしない。」・・・

 楡の木の梢が緑の屋根を広げるウッドデッキでしずかな時を過ごしながら、これらの言葉を思いめぐらしました。
 じっさい、この共同体は、すでに20年近く続いているのですから、それだけの年月の重みのこもった実感でいらっしゃったと思います。
 このとき話してくださった内容のすべてを、私はもちろん実感として分かるわけではありませんが、これから劇団活動を推し進めていくなかで、いつかもう少し深く理解できることがあるかもしれません。
 貴重なお時間をいただいた感謝をこめて、ここに書き留めておきたいと思います。

 中島 迂生       

Posted by 中島迂生 at 04:22Comments(0)演劇一般

2008年09月13日

つくば近辺の劇団等

 皆さんこんにちは。ひきつづき。
 ここ数ヶ月、見た舞台やお会いした団体など。・・・
 
 とりあえず募集チラシをつくって、周囲に「劇団立ち上げます!」と宣言し始めたのは、5月か6月のことだったと思います。
 当然のことながらびっくりされたり呆れられたりするなか、思いのほかに「友達も演劇やってるよ」とか、「実は自分も昔やってた」とか「よく分かんないけど、面白そうじゃん」みたいなこと言ってくださる方がけっこうあらわれてきて。

 でも、「演劇経験長いんだ?」などと聞かれて「いや、実はなんにも知らないんです」と正直に答えると、「・・・・・・」とそこで会話がとまってしまい。
 やはりこれではいけないなぁと。
 なんにも知らないのにいきなり劇団やる! というのはちょっとあまりにムボウなのだなぁと。

 そんなわけで、たいへん泥ナワではございますが、この6月ごろから、つくば近辺で活動する劇団や、舞台の催しや、それに関わる方々などに、片っぱしから当ってみたのでした。

 ウィルアム・サロウヤンの<ママ アイ・ラヴ・ユー>に、こんな一節があります。
 舞台はほとんど素人の若いママが、ひょんなことから大役に抜擢される。で、練習に入って少ししたある日、たまの休みに、
「ほかの舞台など見て勉強した方がいいかしら?」
と言うと、ディレクターが、
「いや、けっして劇場には足を踏み入れないでください!」
と答えるのです。

 経験のないものほど、たまたま見たものに変に影響を受けて、自分のなかで深化しないうちに中途半端に真似してしまったりする。
 そういう危険は自分でも分かっていたので、ためらっていた部分もあったのです。
 でももうここまで来ちゃった以上、仕方あるまい。ということで・・・

 じっさい色々あたってみはじめると、つくば近辺にも演劇人たちのかなり長い伝統があり、いろんなところで地下水脈のように脈々とつながってるんだなぁ、というのが漠然と見えてきて。
 いろんな方に親切にしていただいたり、いいものを見せていただいたりしました。


○創造市場

 お稽古風景から見学させていただいたのは、土浦に自前の稽古場をお持ちの<劇団創造市場>。
 伺ったのはちょうど<ピーター・パン>の公演前にあたり、お忙しいのに見学を受け入れてくださってほんとに感謝しています。
 お寺の離れのような古い日本家屋で、すごく懐かしい感じのところなんです。
 過去に上演した演目のポスターが壁にずらりととめてあって、大道具や小道具がごたごたと並んでいて、ほんとに、寺山修司の時代にタイムスリップしたみたい。
 今ではこんな日本家屋じたいが少なくなってしまっていますから、いとおしく眺めたことでした。

 土浦公演も見に行きました。
 演技の完成度も高く、プロ意識に裏打ちされた、たいへん安定した舞台という印象を受けました。
 衣裳、背景の木々や、照明など、舞台装置も凝っていてすばらしかった。
 ピーター・パン、ちゃんと雲の中を空飛んでたし。

 なかでもとくにすばらしかったのはティンカー・ベル。・・・
 ティンクって、キャストの中でひとりだけ、人間じゃないんですよね。
 人間じゃなくて妖精で、それゆえ根本的な感覚が人間とは違っている。
 たいして深く考えもせずにウェンディを殺させようとしたり、それであとで詰め寄られても本気で反省しなかったり、・・・それでいてぜんぜん悪気はなかったりですね。 
 そういう感じが、とてもよく出ていた。
 演技のうまさだけではなくて。見ていてほんとに、別の種族って感じがしました。
 あとで伺ったら、劇団の看板女優さんなんだそう。
 むべなるかな。

 しかも、きいてほんとに残念だったことには、前回の公演が<オンディーヌ>で、主役をやってらしたというんです。
 ぜひ見たかった!・・・ほんとに。
 というのは、<エニスの修道士>のエルダというのは、ぜったいにオンディーヌの遠い親戚なんです。それはもう、間違いない。

 芝居でやる<オンディーヌ>というのは、ふつうジャン・ジロドゥーの戯曲をもとにしています。かつてオードリー・ヘプバーンもこれを演じています・・・<ローマの休日>より前に。
 でも、そのもとネタにはフーケーの原作があって、それ、子供のころからほんとに大好きだったのです。戯曲とは少しプロット違います。
 こちらは<水妖記>のタイトルで岩波の赤帯から出ています・・・かつて出ていた。いまは版、切れているかも。

 岩波のあと書きにも書かれていることですが、フーケーにしてからが、昔から地方に伝わる伝説をもとにしてそれを書いています。
 ですからあれもやはり、大地の懐からもらってきた物語なんですね。
 創造市場のオンディーヌ、いつかぜひDVD等で拝見したいなと思っています。
 
 あとひとつふたつ見聞録をお送りしたいと思います。よろしく。

 中島迂生
   

Posted by 中島迂生 at 11:21Comments(0)演劇一般