2014年05月17日

片づけについて 7-別部屋というブラックホール-



別部屋というブラックホール。
めんどくさい問題ほど、正面から立ち向かうのが結局いちばん早い。

ここ15年くらい、自分の部屋に入りきらない色んなものを別の部屋などに置いていた。
置いた当時はそうするしかなかったと思う。貸しスペースみたいのまで考えていた。
いろんなものを素材としてとっておいた時期もあったし、ものを書いたり、個展をやったり、イベントをやったり、劇団をやったりと、つまりは際限なくものが増えるような活動ばかりやっていたから。
でも、やっぱりそういうのはよくない。自分のものはあくまで自分の部屋の中で責任をとらないと。

今回の片付けプロジェクトを始めてから、この別部屋分がさいごの課題で。
自分の部屋内分、だいたいめどがついたのでいよいよ取り掛かることに。
こういうのは一気にやらないと。少なくとも、一気にやるつもりでかからないと。
とにかくものすごい埃とカビなので、広げておく時間を最短に、さっさとやらないといけない。

納戸に置いていた服類、一気にぜんぶ持ってきて、部屋の床に広げ、その場で処分するものと洗ってまた使うもの、またはリサイクルに出すものなどに分け、袋にまとめて隅に積み上げた。
納戸は風の通りが悪く、とにかくカビがち。
知ってはいたけどここまでとは思わなかった。
片付けてると強烈なカビ臭に息が詰まりそうになり、これは服より自分の健康のほうが大事だわ。
服をきちんと保存するって難しい。
でも、そんなこともあっていろいろと答えが出たのはよかった。

もうひとつの別部屋に置いてあったダンボールや袋類など、これも一気にぜんぶ持ってきて床に積み上げると、部屋がそれでいっぱいになってしまった。
その場でモノをすべて出して、埃だらけのダンボールなどの入れ物を、その日のうちに重ねて燃えるゴミへ。
それからざっと分類して、明らかにいらないものをゴミの日別に袋にまとめて隅に積み上げる。

これはもういいよねって、時が解決してくれたことがけっこうあった。
情報誌関連や、カタログ類、IT機器などはとくに顕著。
とっとかないといけないかなと思っていても、置いてあるうちにものすごく埃をかぶったり、変色したり、とっくに情報が古くなっていたり。
そうするとなんかほっとして、もういいよねってなる。

始めると早い。手早くどんどん選別していく。
この中でほんとに大切と思えるのはほんのちょっぴりだと分かっていたから。
とっておくものとじっくり向き合うという点でも、定期的に棚卸ししてチェックって必要だな。
自動的に何でも生き残るの確定なら、検分されるためにつくづくと見返されさえしない。結局死蔵ということになる。
それではとってある意味がない。

ほんとは場所別にやってはいけないそうで、モノのジャンル別にやらないと二度手間になると。
それはたしかにそう。二度手間になってる。
改めて、紙類は増やすもんじゃないなとか思ったり。
でも実質、ここはこういうふうにしかできなかったな。しょうがない。

   *

今回見つかってうれしかったのは、譜面台とマイクとギタースタンド。
かなり前から、どこかにあったはずだと思って探していた。
ギタースタンドは、持ってたことすら知らなかった。ギターかアンプ買ったおまけとかではないかと。
前のギタースタンド、壊れてからしばらくもガムテープで補修しながら頑張って使っていたのだけど、ネックの支えがくるくる回ってしまって何とも手の施しようがなくなって処分してから、ギター置くとき困っていた。
あと、ヘッドセットも見つかったのだけど、耳に当てる部分が触ると崩れるほどぼろぼろになってた。

いちばんびっくりしたのは、中学のとき聴いていたラジオ。とっくに捨ててしまったと思っていた。
白かったはずが赤茶色みたいなものすごい色になってた。
黒のマジックで猫の落書き。今見てもなかなかいい。
E...のあとすっかり消えてしまっていて、何と書いてたのか全く思い出せず。
2日くらいして急に思い出した。Easy to bed and easy to rise と書いてたんだった。
それでオールナイトニッポンとかこのラジオで聴いてたのだから矛盾してるw

あと、版画が3枚。小学生くらい。
なかの1枚は、彫ったことすら忘れていた。

高校のときの教科書類。
高校は楽しかったからそっくりとってあったのだけど、この機会にさすがにだいぶ選別して減らした。
ただ、講師などずっとやっていたので、教科によっては自分の勉強にいまもわりと参照したりする。
英語の文法書などとくに。
2桁の引き算で挫折したので、その後の私の人生に算数はない。
でも、数Ⅰと代数幾何はとってある。
火星の言葉よりちんぷんかんぷんだったが、先生がいい人だったので授業は嫌いじゃなかった。
方程式を展開した藁半紙の手書きのプリントとか、なんか捨てられない。

さいごに洗濯機をひっぱってきて、とりあえずは撤収終了。
洗濯機、せっかくあるから使いたいなとはずっと思ってたのだが、置く場所のことを考えてずっとペンディングで来てしまった。
中に置くと場所をとるし、排水の問題が。
だからベランダに置きたいけど、ベランダの強度の問題と、あとやっぱり電気系統には、外はきついかなと。
で、とりあえず中に。
気の滅入るような濃紺なので、その日のうちに白ペンキで塗り上げた。

分類して積み上げた不用品の山も、それぞれの日まで置いておかないといけない。
集積所にもっていって、「ありがとうございました」と一礼して、はじめて終わる。
それまではいろいろと、中途半端な思いを引きずる。
そういう色んな思いを味わうところまですべて含めて、それで片づけなのだと思う。

   *

例によって、この部屋のもののうち書類関係がいちばん時間をくった。
こいつは最後まで床に積んでおいて、1週間くらいかけて、いちおう全部に目を通し、不要な部分を捨てていく。
書き散らしとか作品系はとりあえず触らず。
昔描いたイラストとか、これはうれしい。久しぶりに目にするとテンション上がる。

そして、全然ときめかない大昔の領収書や契約書なんかの事務系をおもに整理。
あらためて、知らない頃はほんとにいいようにされてたなって思う。
いろんなところで、取られるだけ取られていた。

いまはあるていど以上高額なものはめったに買わなくなった。
高いお金を出して、それに見合うだけの価値を得られたと感じることってほぼ皆無だったもの。
やっぱり、調べること、知っていることって大切だなと改めて思う。

   *

15年ぶりくらいに再会したものたちもいっぱいあって、いろいろと考えさせられた。
そこにあるものが自分の歴史。
それはそうには違いないけど、あくまで一部でしかない。
もうそこにはないもの、ものの形では残っていないものもたくさんあって、それらもまた自分の歴史をなしている。
それらのことも、忘れないように。






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