2014年01月30日
Down to Earth
随想集Down to Earth-わが心 大地にあり- 詩編4
Down to Earth
ずっとふしぎに思ってきた
こうしてコンクリートとアスファルトとにすっかり包囲されて
都会のどまん中で平然と暮らしてきたはずのあなたの
なのにその奏でる音色がいったいどうしてこんなにも
打ち消しがたく 有機的なイメージに充ちているのだろうかと
とめどなくつづいてゆくそのフレーズが いったいどうしてこんなふうに
繊細なパターンを織りなして 彼方の空にまで溶けこみゆく
乾いた灰褐色の 冬の梢の質感を思い出させるのかと
まわりの空気をびりびりと震わせて ゆたかに広がりゆくその音の響きが
黒々と 鋤き返されたばかりの田野に立ち昇る
いのちの力にみちて 香り高い蒸気のあたたかみを
その弓先の 掠れるように細い歌声は あやとりの綾をえがくように
遠い夏の日の午後 川面照らす陽の ボートの腹に映し出した
たえまなくゆれうごく 光と波のこまやかな網目模様を
あふれ出る思いのように つと指のあいだから流れ落ちるその調べは
さしそめた曙の うっすら紅さして ふくらみかけた椿のつぼみ
今にもこぼたんとする露玉の 顔をそむけさすばかりの艶やかさを・・・
ずっとてっきり思ってきた
たぶん すべては思い違いなのだろうと
これらのイメージを愛するあまり 同じく愛したあなたの音色を
私はきっと 自分のなかで 勝手に結びつけてしまったのだろうと
ただそれだけのことに すぎないのだろうと
Down to the earth・・・
あの日 あなたの口からその言葉を
あなたがそれを口にするのを聞くまでは。
2002.Aug.
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