2021年05月10日

イラスト 月の歌声



イラストの注文仕事、新作です。
前回と同じ依頼主さんで、今回は、同人誌の表紙に使うそう。

注文は、「青が基調で、タイトルは<月の歌声>」というだけでした。
それを見てぱっと浮かんだイメージをそのまま描いた感じ。

正直、ぱっと浮かんだ時点では、モチーフや構図、
「タイトルには合ってるけど、あんまり新しさはないなー」と思ってたんですね。
月と女性、よくある組み合わせ。
でも、描きこんでいるうちにけっこう気もちも入ってきて、結果、わりと自分の絵になった感じです。

前回は、何枚もの写真からイラストを描き起こし、構成を考えて各要素を配分するのが、ものすごく大変だった。
めっちゃ疲れたし時間もかかって。
そのわりに、なんか… 写真に忠実すぎて、かえってオリジナリティに欠ける感じがしたんですよね。
あんなに大変だったのに、合わないなぁと思って。
むしろ写真なんか見ず、思うままに描いたほうが私らしい絵になる気が。
だから今回は、ほとんど何も見ずに描いたんです。

昔、ジョナス・メイナードという作家が書いていたことなんだけど、お父さんが、画家だったんですよね。
で、娘によく言ってたのが、
「対象をきちんと見て描かないと、筆致がオートマティックになってる」って。
なるほどね、と思っていたのですが。。
…でもよく考えると、対象をきちんと見ないで描く、オートマティックな筆致こそが、ほかの人にはできないその人らしさになるんじゃないでしょうか。
対象をきちんと見て描かれた絵って、みんな似たようじゃない?

<青>と聞いて、モロッコのシャウエンの街並みが浮かんだの。
青い街並みが有名で、いつか行ってみたいなと思っている。
それは、画像検索していろんな画像を見ました。
でもイラスト自体はとくに何も見ず、頭に満ちたイメージが、手から湧いてくるままに描いた。

おかげで今回は、ずいぶん楽に、気もちよく仕上がりました。
気もち、前回と比べてかかったエネルギーは10分の1くらい。
オフィスデポに赴くこともなく、前回のときに買ったスキャナで取り込んで、PSDで調整し、すべて家から一歩も出ずに完了。
楽~。

いちばん手をかけたのは、背景の夜空かなぁ。
けっこう曇っていて、雲のあいだから星が出てる感じ。
色鉛筆なので、何日もかけてぐりぐりと、何度も重ねて。
黒と、3色か4色の青と、水色と紫を使っています。

それでも、イラスト自体は大幅に楽だった。
色味とか、文字入れとか、ファイル形式とか、細かいところのすり合わせが、例によってかなり大変で疲れました。
何度も何度もやりとりして。

夜空だから、濃く、暗く。
と思っていたら、依頼主さんから、「もっと淡くしてくれ」というリクエストがあったり。
えっ…。。
ソフトで色味を調整し、最終的に、原画とは似ても似つかない仕上がりに…。
こんなことがあるから、すり合わせは大切。。

文字入れなんかもね、よかれと思ってすごい時間をかけていろいろ作り込むと、にべもなく却下されたりするんです。
そういうのめっちゃやる力奪われる。
「こっちがよい」だけでいいですから!
気に入らない方へのディスりはいりませんから!

何度かそういうことがあって、とりあえず、あまり労力をかけずにざっとしたサンプルをつくって送るの繰り返して様子見が大切、と学んだ。
仕事は、省エネが正義。。



この感じが原画に近いんだけどなぁ。ソフトで調整するの難しい。。













************************************************