2021年02月27日

歌詞の英訳のコツなど

歌詞の英訳のコツなど

年明けから始動したクラウドソーシングサービス、おかげさまでぽつぽつとお仕事いただいています。
さいしょのイラストのあとは翻訳関連の依頼が多いです。

翻訳でさいしょに納品したのは日本語詞の2曲の英訳。
私がここで宣伝してもご迷惑にはならないだろうと思うのでこちらに。

https://www.amazon.co.jp/dp/B083NT7GSY/ref=cm_sw_r_tw_dp_Y4XK0H1XW9BCGH6PSF2C

<アイムアグリーバー!>という、音楽テーマのマンガ。
マンガ中で登場するオリジナル楽曲を、実際にリリースするプロジェクトが進行中なのだそう。
2曲ともいい曲でしたよ。
仕事として終えたあとも時々個人的に聴いてるくらい。
英訳は英語の恩師にも目を通してもらって、結果とても喜んでいただけました。

久しぶりに歌詞の英訳をして、いろいろと思うところがあったのでメモしておこうと思います。
クラウドソーシングのサイト内で、歌詞の英訳に特化したサービスも出そうかなと思ってるんですよ。
その下書きとして…って、あんまり長文は文字数制限があるからムリだけど。。
オリジナル曲とかの歌詞の英訳を自分でやってみたいと思う方には参考になるかも。

 ***

洋楽、山ほど聞いてきたので割と蓄えがある感じです。
言い回しとか。
そのうちの数百曲は、自分でギターやピアノの弾き語りでカバーしたし。
自分で英詞を書きはじめたのはハタチくらいかなぁ。

メモがてら、今までよく聞いてきた洋楽のアーティストも挙げておきます。
ここは英訳の話なので英詞のアーティスト限定ね。
とくにマニアックでもないと思うなぁ。
めっちゃ王道ですよ。

ビートルズ。OASIS。ポール・ウェラー。
スティング。Savage Garden。ストーン・ローゼス。
クラプトン。エルトン・ジョン。ビリー・ジョエル。
BON JOVI。エアロスミス。Ace of Base。
レディー・ガガ。シンディー・ローパー。
アデル。シャーデー。ジューン・テイバー。などなど。
ぱっと思いつくのはこのへんかな。

いただいた歌詞にさっと目を通すと、youtube の右側に関連動画がバーッと出てくるみたいに、自分がいままで知ってる、似た感じの曲が脳内に次々再生されてくる。
表現に煮詰まったときは、あらためてそういう曲の歌詞を見返してみると、ヒントになったり。

詩的な感じで訳すのはけっこう得意。
どうすると詩的になるかっていうと、
まあ… 日本語とあまり変わんないかな。

たとえば歌詞をそのままgoogle translate とかにかけると、あるある→
・ほぼすべてのフレーズが I で始まる
・that S+V 節のオンパレード など。

詩に人称はあんまりいらないです。
日本語でもそうでしょ?
文脈で分かるし。っていうか、文脈で分かるように訳さなきゃ。

that S+V 節も説明的で、あんまり詩的じゃない。
省略したり、ing 形に変える、そもそも言い回しを変える等。
「あー、原詞とぜんぜん違うけど、なるほど意味は伝わるねー」みたいなの考えるのが面白い。

あと、なるだけ短くシンプルにそぎ落としてあげると詩的になります。
俳諧みたいにね。

 ***

ここまでは(字幕や歌詞カードとして使う)単なる英訳の話。

ところで、それと、英語でそのまま歌えるカバーバージョンをつくるのでは、制作に要する時間とエネルギーがまったく違ってくる。
ここから先は、カバーバージョンをつくる話を書きます。

そもそも、言語じたいの特性として、同じ音節の数では日本語の方が英語より、少ない内容しか言えない。
英語の方が、多くの内容を言うことができてしまう。

だから、日本語詞をメロディーそのままに英語に置き換えようとすると、どうしてもメロディーが余ってしまう。
余った分は訳者が、もとの歌詞の世界観を拡張する感じでイメージを広げ、フレーズを加えないといけないのです。
ここが、センスが求められるところ。

この音節の問題を意識するようになったのは、私の場合、<エーデルワイス>がさいしょです。
11才くらいのとき。

英詞と日本語詞を比べたときに、日本語の方があまりにおおざっぱなのにショックを受けて、自分で「正確に」訳し直してみたの。
そしたら、フレーズが余りまくってしまって、とてもメロディーに乗せて歌うことができなくなった。
それで、ああ、忠実に訳すとこうなっちゃうのか、日本語詞がこんななのは仕方ないのか… と納得したのです。

その逆で、日本語詞から英語バージョンをつくるさいの問題を考えさせられたのが、14才くらいで知ったGame's Over。
これは荒井由実の<ノーサイド>の英語カバー版。
A.S.A.P.という黒人女性3人組のグループが歌っている。
コーラスもパワフル、サウンドも厚みがあって、今でも、この曲に関してはオリジナルよりこっちの方が好きかも。

さいしょに聞いたのがこっちだったのでこっちで慣れていて、ユーミンのオリジナルを聞いたときに「…なんかやけに寂しい曲だな」と思ってしまった。
まるで別物。
でも、歌詞を読んでみるとすごく忠実に訳されてるの。

ただ、そんなわけで英語ではより少ない音節ですべてを訳せてしまうから、もともとなかったフレーズも加えてけっこう膨らませてある。
「そこのフレーズ、別にいらなくない?」と思っても、仕方ないのですよ、メロディーが余ってしまっているのだから。

こうした言語的特性の違いを踏まえたうえで、メロディーに乗せ、文法的にも変でなく、一貫した世界観を伝えられるような詞をつくっていく必要があるわけです。

 ***

このほか、フレーズの作りこみ方としては、メロディーに乗せてもなるだけ話しているときと同じような抑揚になるのが理想。
そして、できることなら一番強い意味を持つ単語が、メロディーのなかで目立つ音のところにくるようにもってくる。
このあたりも、日本語で詞を書く場合と同じですね。

そのためにフレーズを工夫するか、自分で曲を書いている場合はメロディーの方を変えちゃうか。
あ、私、曲も書きます。
劇団で使う曲も自分で書いていたし、いまは映画をやってるけど、映画で使う曲も自分で書く。
でも、人様から歌詞の英訳を依頼された場合、私が勝手にメロディー変えるわけにいかないのでw

音節が余ったら使える調節用のボキャブラリーとかもあるとよいですね。
1音節余ったらこれ、2音節ならこれとこれ、3音節ならこれ、みたいにw

あとできる限りにおいて、脚韻を踏むようにしたい。
ここがいちばん難しいところかも。

正直、自分の場合、95%は小一時間もあれば書きあがるが、このさいごの脚韻のところが決まらなくて一週間くらいかかったりする。

脚韻がかっこよく決まらないと自分のなかでどうも納得いかなくて、シャワーを浴びながらとか、寝付くまでとか、エンドレスでずーっと考えてしまう。
でもたいてい、さいごには何とか形になります。

英詞のなにがすごいって、あの脚韻という概念、シェイクスピアのソネットの時代とかからずーっと変わらないのですよ。
いや、もっと前からかもしれん。
あの<型>が、デスメタルとかそういう極端なものまでずーっと貫いているんです。
すごくないですか。

でもじっさいは、Change the world とかだって、改めて歌詞思い出してみると、サビのところはあんまりちゃんと韻を踏んでいなかったりする。
それでもあれだけヒットしたのだし。
まぁ、クラプトンはギタリストであって詩人が専門ではないのだからそんなことでごちゃごちゃ言うのはお門違いですが。
一番重要なのは韻じゃないってことです。
(クラプトンと比較するなって話ではあるw)

というわけで、歌詞の英訳のコツとしてはこんなところです。
挑戦してみたい方は、よかったら参考にしてみてください。

 ***

自分の宣伝もしておきます。
私の登録しているクラウドソーシングのサイト<ココナラ>のページはこちら。
https://coconala.com/users/1974584
現在、イラストと翻訳の仕事をお受けしています。
















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