2011年12月25日

湖底の都 初演備忘Ⅲ

●ダンスなど

まぁ、結論から言うと、あんなものかな。
基本、だいたい自分の踊るところは各自が振り付けしてた感じで、各自ができるところをできる限りにやったらああなりました、みたいな。

曲と同じに、とくにさいごの踊りでは、優雅なだけじゃない、パンチの効いた、力強い感じを取り入れたかった。

今回個人的にいちばん頑張ってくださったのはロンデナント王子かな。
毎日、娘さんを相手に練習されたそう。
そのかいあって、本番もばっちり。
役柄を踏まえて、独自のタカラヅカ的演出を加えてくださったのもよかった。

魚ナンバーワン嬢が、みんなで踊るさいごのダンスの振り付けを考えてユーチューブに上げてくださったのだけど、みんながみんな覚えられたわけではなかった。
2年前のエインガスのときに、やっぱりユーチューブで振付を覚えてもらったのだけど、ネット環境がなくて、かなりの手間をかけて近所の図書館でネットを見られるような手配をしてあげた団員さんがいるのね。
そしたら、今回は自転車が壊れたから図書館まで行けないって。・・・
それ聞いたときはどどーんと無力感に打ちひしがれて、「馬を水辺まで引っぱって行くことはできるが・・・」っていうことわざを思い出したりしてしまった。
まぁ、あたしがもう少し汲んであげるべきだったのだけど、要するにあんまり踊りたくなかったのだ、その人は。
そういうことなら、仕方ない。
やりたくないことを無理にやっても、あんまりいいものはできないからね。
そんなわけで4人になってしまったけど、まぁ、結果的にはけっこうまとまったかな。

●照明

今回は、全体ライト+中央奥と上手手前にスポット、それにアッパーの緑ホリゾント。
結果として魚ナンバーワン嬢に一任してお願いすることになり、さすが舞台経験者、りっぱに果たしてくださった。
早着替えも何度もあるなか、ものすごく忙しいことになってしまい申し訳ない。

みんなで踊るさいごのダンスのところでは、ひとりだけ踊らない団員さんに照明をお願いしようと思ってたのだけど、それもやらないというのでほんとに困ってしまった。
そこで何とかやりくりできるように少し演出を変えてDVD自体を、音源編集のプロジェクトファイルまで遡って手直しするはめに。

●包括的考察

よくネットのコラムで、「いかにいい仕事の仕方をするか」みたいな話で、「全体の80%の力を使うこと」とか「30%の余力を残しておくこと」とかあるけど、要するに同じことだよね。
いっぱいいっぱいじゃなくて、常に少し余裕を残しておくようにすること。
時間的、精神的、人員的に。
それってほんとに難しいけど、ほんとに大切。

公演が迫って加速度的に忙しくなってくるときに限って、何でこのタイミングでっていうような機器トラブルだとか、劇団とは関係ないごたごただとかが色々とよく持ちあがる。
そういうものにうまく対処できるように、余力を残しておかないと。
先日書いた、急にPCのオーディオが聞こえなくなるトラブル。
前日には、PCを立ち上げた途端に、購入以来はじめての「バッテリを識別できません!」ウォーニングが現れて慌てた。結果的には、ただバッテリが切れたというだけで、コンセントにつなげばふつうに使えたのだけど。
以前、パトリックフェスのやっぱり前夜くらいに、突然ネットがつながらなくなるトラブルが持ち上がったこともある。
あと、1週間前になって急に演出の構想が豊かにふくらんでしまい、ひとりで突っ走る習性のある団員さんなどもいて、なかなか平静を保つのがたいへん。

まあ、それでも、6月の末にスタートを切ってから6ヶ月弱。
新しい試みや挑戦がたくさんあって、時間もあまりなかったわりには、けっこう余裕をもってのぞめたほうじゃないかと思う。
公演の前日に、一日仕事のお休みをもらったのも大きかった。
休み取らなくても何とかなったとは思うのだけど、取れたおかげでいろいろこまかいところの仕上げができてよかった。
もちろん、初演の前にやろうと思ったことの全部をやれることなんてありえなくて、3つのうち2つをやれるとしたらどれとどれ? みたいな感じにはなるのだけど。
理解ある職場にほんと感謝。

●公演後にやること

・各方面にお礼メールを打つ。
・ブログに記事を上げる。
・動画をまとめてユーチューブに。
・この備忘録を記す。
・後片づけ

そんなこんなで、ひととおり片付くまでに最短1週間はかかる。
本番の映像は今回人様に撮っていただいて、現時点でまだ届いてなくて、とりあえず自分の固定ビデオで撮ったリハのもようをダイジェストにして上げてある。
ダイジェストにする編集作業は相変わらず時間食うのだけど、wmvじゃなくてNTSCでレンダーしたらずいぶん楽になった気分。
ユーチューブへのアップロード、PCを放っておくと失敗しがちなのは、電源設定のせいではないかと思い至り、コントロールパネルを開いて設定を変えてみた。
結果、寝ているあいだにアップロード成功。

さて、あと後片づけが終わったら、今後の方向性を検討する作業に入らなくては。
  

Posted by 中島迂生 at 17:54Comments(2)第4作 湖底の都 備忘

2011年12月25日

湖底の都 初演備忘Ⅱ

●音楽/音源
 
・テーマ曲
冒頭部でテーマ曲を、ギターの伴奏でみんなで合唱、この部分は吹きこみ音源なし。
これは今回新しい要素のひとつ。
せっかくぜんぶ自分で書いてるのだしほかではいつもライヴやってるのだから、ライヴの要素も取り入れたいと思ってようやく実現できた。
けど、今回のお客さんは音楽にはあんまり興味なかったのかな。
セリフが音源込みだったことは色んな人が批判してたけど、曲については誰も一言も言ってなかった。
ふさわしいお客さんを開拓していかないとね。

テーマ曲はありふれたコード構成だけど、シンプルで悪くない。
苦労してたくさんのトラックを重ねて、音源も味のある仕上がりになってる。
ボーカル+ギターの元トラックに、コーラスを3トラックほど、ギターのストロークを別に1トラック、プラス、シンセのストリングスとコーラスを1トラックずつ重ねてる。

深緑だね、曲調が。Eが目立ってるから。
Eって深緑じゃない?

これまで、<エインガス>と<石垣>のテーマ曲がアコでブンチャッチャみたいなのだったから、今回はもうちょっと普通に聴ける感じに、自分がふだんライヴでやってるロックやポップスに近い感じにしようと思って。
今までよりもっと力強さが、パンチの効いた感じがほしいなと思って、そんな感じにした。
それと、今までがんばって日本語で書いてきたのだけど、やっぱ詞は英語のほうが書きやすい。

・ミーズとロンデナントの別れのダンスの曲
今回、気に入ってる曲のひとつ。
場面にとても合っていて聴きやすいのだけど、実はふしぎな拍子の曲で、Aメロが基本4分の3なのだけど、ところどころ変なところで伸びてるし、Bメロは8分の6なのかな? しかも、AメロとBメロを同じテンポで弾くと明らかに変なので、それぞれでテンポを変えてるのだ。
あぁ、こういう面白い曲が降ってくるようになったんだなと思ってうれしかった。

さいしょはシンセのチェロの音で入れたのだけど、音源を人に聴いてもらったら、一発で「シンセの音だね」と言われてしまい、・・・やっぱりちゃちだからやめようと思って、エレピで、パイプオルガンの音で入れ直した。
エレピだとチェロの音がなくて、あったなかでいちばんイメージに合っていたのがパイプオルガンの音だったのだ。
ほんとは、あの時代にはまだパイプオルガンなかったはずなんだけど。

・鳥のさえずり
これだけ全部オリジナルでがんばってるのに、ネットで探してくるっていうのも芸がないなと思って、ほんとはロビンかブラックバードの声を吹き込みに、ちょっとイギリスあたりまで行こうかと思ったのだけど、なかなかそうもいかず。
発想を換えて、シンセのフルートの音で、BGMのひとつの冒頭部分のバリエーションを。
時間がなかったので直接シンセからパソコンにつないで、その場で弾いて入れた。
だから弾いてるときは自分の音が聞こえない状態だった。

・その他
曲はシンプルなほうがいいけど、凡庸ではダメね。
今回は、ほかは凡庸なのが多かった。
ミーズとロンデナントのさいしょのダンスの曲など、シーンには合ってると思うけど、何の目新しさもなく。
BGMに使ったギターインストも、Bメロで転調するのでレコーディングがえらく大変だったんだけど、おおかたあんまり耳にひっかからないよね。
風景画の映像のときに使ったピアノ曲は、あれはさいしょにダーッと降ってきた10曲くらいのなかに合うようなのがなかったので、わりと直前になって急遽書いた。
ダンス曲のほうと似てて、よく間違えてこっちで踊ってしまったりしてた。
あんなに美しい風景には、もっといい曲があるはずだと思うのだけど・・・
いいのが降ってきたら足すかも。

●ナレーション、セリフなど

音源込みだったことや、セリフを同じ人がぜんぶしゃべってたこと、ノイズが入ってたことなどに批判が多かった。
これについては、こういう事情があったんだよ・・・と弁明したい気もちと、・・・あたしが思うことはやっぱりほかの人たちも思うんだなぁ、で、人が聴いていいと思わなかったらそれまでだよなぁ、と思う気もちと、複雑。
これについては、あまり詳しく書くと愚痴になるのでやめる。
今後の課題としてちょっと考える。

ひとつ言うとすれば、セリフをしゃべるのは、別にいいんだわ。
あたし以外はみんな、ふつうに覚えて喋れる人たちだし、あとはあたしが頑張ればすむ話だから。
けど、ナレーションとかBGMの頭出しを、誰がやるのよ? という問題。

●映像/機器関係

映像を取り入れたのが、今回最大の新しい要素。
背景にプロジェクタで絵を映すのは、もう旗揚げのときからずっとやりたかったことなので、大きく一歩可能性が開けた。
ただ、方法論を考えたり、編集作業とか、DVD作成とか、現場では思わぬトラブルが次々起こるし、ほんと大変だったけど。

コロフィンの絵をあらたに8枚ばかり、色塗るの大変だったな。前も書いたけど。
気合いを入れてかからないと終わらないと思って、1週間くらいの突貫工事で終わらせた。
線画だけならまだいいんだけど、色を塗るのは昔から、めんどくさくてあまり好きじゃない。
塗り絵って信じられない。
自分の絵さえ、色塗るのめんどくさいのに、なんで他人の絵に色塗んなきゃいけないのって思うよ。

編集に使ったのは、ビデオスタジオvol3。
多機能だけどなかなかクセが強くてやっかい。マニュアルがものすごく長くて、やりたいことのやり方を見つけ出すのが大変。

よく使った機能は、フィルタでズーム&パン。
最終的にどの部分へ、どのくらいの大きさでどれくらいの時間をかけてズームするか、カスタムできるのね。
ところが、それをやると指定してないのに勝手に左右にパンもしてしまって、パン機能のチェックを外すと、カスタムした内容もゼロにされてしまう。
あれ、ひどいよな。
とりあえず勝手にパンされるのには納得できなかったので、部分指定のカスタムはあきらめた。
そうすると自動的に、まっすぐど真ん中へズームしていくことになる。

あと納得できなかったのが、縦長の画像をズームしていくと、表示できる横幅もだんだん広くなっていってしかるべきだと思うのに、ならないんだわ。
表示される横幅は同じままで、ただその狭いなかでズームされていくだけなの。
そこで、フォトショで画像の上下を切り落として3分の2バージョン、3分の1バージョンなど別につくって、グラデーションで表示して、横幅がだんだん広くなっていくように見えるように工夫した。
自然につながって見えるように、各クリップのズームぐあいも調節して。
縦長の画像はいくつかあったので、ずいぶん手間がかかった。

そうそう、そしてそれをやってるとき、急にJpeg画像をビデオスタジオに読みこめないという怪奇現象が発生。
論理的にそんなわけないんだが、そういうことがたまに起こる。
治ったあとも、何でそれが治ったのか、何が原因で起きたのか分からないのだ。

映像が入らない、音だけのところは、音だけのファイルでよかろうと思ってたのだけど、音だけのファイルをDVDに入れるということはできないらしくて、結局ぜんぶ映像ファイルにした。
とりあえず画面クリップを入れないと映像ファイルにならなくて、でもうしろで音クリップがはみ出るのはいいらしい。
そこで、ほんとに音だけのファイルは最初の1秒くらいカラーパレットの黒をクリップで入れて。
ファイルのうしろのほうで画像が出てくるという場合はそこまでの音だけの部分、真っ黒い画面をえんえん入れて作成。
音源編集でいうとサイレンスを入れるべきところに、映像編集では黒画面クリップを入れてる感じね。
映像ファイルにするとムダにサイズがでかくなる。

ブラックイン/アウトするにはどうしたらいいのかという研究も。
直接そういう機能はなくて、トランジションのクロスフェードを応用して、黒画面クリップと使う画像クリップとでクロスフェードさせてつくる。

そんなふうにして、もともと7つの音ファイルから成ってた音源に画像を加え、7つのプロジェクトファイルを作成。
で、これをじっさいどうやってスクリーンに映すかという方法論。
さいしょいつものようにwmvに、今回はハイビジョンのサイズでレンダーしてみた。
ところが、できない。
何度やっても、「失敗しました、すいません」みたいな表示が出て、ビデオスタジオ自体が閉じてしまう。
そこで、現場に行ってホールの担当の人に相談した。
そしたら、DVDにまとめて、DVDプレイヤをプロジェクタにつなげてやるのがいちばんよかろうという結論に。

それまでは基本、プロジェクトファイルからwmvにしてたんだけど、自分のパソコンでwmpで再生しようとしても、なぜだか画面が固まってしまって、再生できないのだ。
デスクトップにいろいろアイコン出し過ぎというのもあるらしいけど。
いずれにせよ、パソコンはなにかとunreliableすぎるので本番には使いません。
それにしても、形式はwmvでいいのかしら・・・以前にwmvでDVDをつくったら、気の遠くなるほど時間かかった記憶があるのだけど。
そう相談したら、ソフトで<DVD作成>メニューを開いて、出てくる形式でやってみたら? と。
それがNTSC? とかなんかそんな名前の形式で。結局mpegになる。
うち帰ってやってみたら、wmvにするより、レンダリングにはるかに時間がかからなかった。
今までの苦労はなんだったんだ? という感じでちょっと拍子抜け。

ところが、それからじっさいDVDにするまでが大変なことになった。
ビデオスタジオvol3でDVDをつくろうとすると<ビデオライター2010>というのが立ち上がるのだが、これがムジナのように正体不明で、さっぱり分からん。
あちこちクリックしてみても、ダブルクリックしてみても、全く何も開かん。歯が立たん。

困って人に訊いてみると、・・・あー、あれはみんな苦労するんですよ。と。
12だと分かりやすかったんだけど。4になるとまたそれに戻ったんだけどね。
・・・んなこと言われても。

12が入っていたので開けてみたら、体験版でもう使えなかった。あんまり覚えないんだけど。
結局、4の体験版をダウンロードして使うことに。
それが何だかんだといろいろごちゃごちゃあって、600MBもある。
で、何だかんだと時間がかかる。
もういいよーと思っても、次から次へと色々実行したり構成したりいつまでもやってる。
あげくの果ては、体験版なのに個人情報を書かされた。
で、すでにアカウントをお持ちです。パスワードを入れてください。
・・・んなの覚えていません。
ではこちらのURLからリセットしてください。

DVD1枚つくるのに、えーっ?! ほんとにここまでめんどくさいんですか。
なんかヒマラヤの山ひとつ超えるほうが楽そうな気がしてきた。

やっとインストールが終わってやってみると、たしかにこれなら分かりやすい。
30分のコンテンツ、DVDに焼くのに10分くらい。時間もリーズナブルだ。
けど、焼き終えたあと「プロジェクトを保存しています」というのの、水色のタスクバーがえんえん出て、いつまでも閉じることも、パソコンを終了することすらできず、やっかい至極。
あげく、保存されたプロジェクトファイルというのをあとで見てみたら、コンテンツのさいしょの1秒くらいが入っただけの、何の意味もないファイルだった。
・・・何だこりゃ。

できあがったDVDを見てみる。
<メニューを作成>というところのチェックを外しておかなかったら、勝手にできあいの目次ページができていて、なんかジャズの音楽まで入ってる。
メニューってそういうことだったのか! じゃあ、あっちゃだめだ。
で、次に焼いたバージョンからはメニューを外した。
そしたら、それはそれで問題が。
7ファイルの各区切れ目を、チャプターとして認識してくれないらしくて、頭出しできないのだ。
途中に行きたい場合は、いちいちさいしょから、ファイル1のさいごまで32倍速で再生して、そのあとファイル2にいくとまた元の早さに戻るから、また32倍速にして・・・というふうにしないといけない。
それに加えて、さいしょとさいごで止まっていてくれなくて、再生するといきなり始まってしまうし、さいごまで行くと自動的にさいしょに戻ってまた始まってしまう。

この現象は、ホールのDVDプレイヤでも変わらなかった。
そこで、さいしょは、再生して次の瞬間に一時停止した状態にしておいて始め、さいごは岡田さんに頼んでおいて、おわったタイミングでまた一時停止してもらうことに。

ほかにも、さいしょなぜか画像がモノクロで出たり、ファイル1がリピートされてしまったり、原因不明のやっかいな現象が。
でも、いちばんあっちゃーと思ったのは。
一時停止して5分すると<パイオニア>という文字が出てしまうので、みんなで注意して5分たつ前にまた一時停止し直していたはずなんだけど、あとで本番の舞台の映像を見たらしっかりスクリーンに<パイオニア>の文字が。
あれは何でだったんかなー。いまだにナゾだ。

逆に思いがけないいいこともあって、それは、映像が出るところと出ないところの切り替えをやらなくてすんだこと。
映像が出ないところでは、人が舞台に立つとプロジェクタの光を浴びてしまうから、タイミングをはかってリモコンでミュートしたりまた復活させたり、をしなくてはいけないと思って、踊りながらリモコン操作する練習とかしてた。
けれど、映像が出ないところの黒画面では光があまり出ないし、リモコンでミュートしてもそれが反映されるのに10秒くらいかかって、しかも目で見て分かりにくいのだ。
そのことがリハのときはじめて分かって、かなり慌てた。
で、これはちょっと危ないなと思って、もういっさいミュートなしで行くことにした。
おかげですいぶん手間が省けて、しかも危ない橋を渡らずにすんだ。
ほんとにこういうもろもろのことって、現場に立ってみないと分からない。

とにかくよく分かったのは、こういう機器を使うとぐっと可能性が広がる半面、実にバラエティ豊かなさまざまなごたごたが持ち上がるもんだということ。
それを覚悟のうえで使わないと。

絵を映像として、スライドショー形式で見せるのは全然ありだと思う。
こういうかたちの一種の個展というふうに考えてもいい。
前にテレビで、ジョン・エヴァレット・ミレーの<オフィーリア>をじっくりズームして見せてくれたことがあって、感動した。

でも、今回のコロフィンは写真を撮ってなかったから絵になっただけで、もともとがほんとに美しいところだから写真があれば写真でも全然OK。
それより、できれば現地で映像を撮って使いたい。
というのは、アイルランドのとくに空は、その動きに、流動性に魂がある。
瞬間を切り取るより、あのダイナミックな雲の動きを、虹のきらめきをそのままスクリーンに流したい。

あと、今後の課題として、湖底の緑色のシーンでは、色だけじゃなくて水のゆらゆら揺れる感じや、泡や水草の感じを表現したい。
晴れた日にプールの表面に反射して見えるような、揺れ動く光の模様を。
それは、映像で表現したほうがいいのか、それとも照明で表現したほうがいいのか、そこは研究してかなきゃ。

ただね、映像に重きをおくほど、ライヴの要素、生の演技の比重が少なくなって、これは課題。
両方の要素が自然に調和して、豊かに増幅するような舞台をつくりたいんだけどね。
(つづく)
  

Posted by 中島迂生 at 17:51Comments(0)第4作 湖底の都 備忘

2011年12月25日

湖底の都 初演備忘Ⅰ

忘れないうちに・・・
いつものように、おもに個人的なメモ

しかしまぁ、舞台ってものは
何てありとあらゆる色んなことを考えなきゃならないもんだろう
自ら始めたことではあるけど・・・

ものすごくたくさんのこまかいことを同時に、色んな多角的な観点から考えないと
ふつうに生きてたら考えないでいってしまうようなさまざまな問題に取り組んで、
解決策を見つけていかないといけないし

●備品リスト

・ミーズ/人魚
 冠、ドレス、ギター、音叉
 水草冠、白キャミ、スパンコールスカート、ラメショール、銀ネックレス&ブレス
 化粧品類 つけ睫毛、グロスなど

・ロンデナント
 銀冠、額飾り、エメラルドトップス、銀ネックレス、スパッツ、青のキラキラトップスなど

・王様
 冠、ガウン、紫衣、金ベルト、かつら、茶色ひげ

・旅人
 帽子、帽子に巻くスカーフ、白髪かつら、灰色衣、マント、マントとめ具、杖

・召使
 オレンジかつら、黒ベスト、クリーム色トップス、青系タイツなど

・メイド
 メイドヘアアクセ、緑スカート、エプロンなど

・魚(共通)
 魚仮面、水色布など

・道具類
 テーブルクロス(ワインレッド布)、銀器、玉座にかける金色布、バルコニー、芯に入れるプラスチック棒×4、バルコニー台にかける白布、上映用DVD

・その他
 ビデオ、三脚、カメラ、いちおうPC、いちおう音源、マーキングテープ、
 透明ガムテープ、はさみ、マジック類、ゴムひも、安全ピン、裁縫道具、接着剤など
 +いちおう脚本!

う~ん。<石垣>より全然少ないぞ!

●衣裳、メイクなど

ロンデナント、自分でいろいろ工夫して素敵に仕上げてくださった
もともと背が高くてとってもかっこいい人なのです
これはこの役にと思っていたエメラルドグリーンのフリフリのトップスが、ばっちり似合ってて
冠もたしかに金より銀のほうがいい感じかも
舞台化粧も研究されたそう

王様の衣裳、大方は私が苦労してつくりましたが
もういいかと諦めてた茶色のつけひげを、当日になって本人がつくって持ってきてくれました 魚で使うきらきらの布とかも用意してくれてたし
なんか・・・いちばん気合が入るのは本番一週間前とかなのかな

旅人、ばっちりはまってたけどいまいち変わり映えがしなかったかも
ハロウィンの黒帽子に差し色のスカーフはなかなかいい感じ

従者、メイド嬢などはご本人の手持ち衣装やリサイクルショップで購入したものなど
役が控え目だから地味になどといわず、みんなでじゃんじゃん目立ちましょう
というのが私のポリシーです
舞台なんですから、やっぱり見て楽しくないとね

魚の仮面みんなの分、あとみんなで揃えた水色の布は、メイド嬢の作品
かっこよくて、とっても素敵です
あと、ご本人の魚の衣裳もきらきらを一面にちりばめたお手製!
肘につけたひれや、うしろで結んだ銀色のリボンも素敵でした
アンケートで、衣裳がよかったって書いてくれた人がたくさんいらした

あれこれ考えることがいっぱいありすぎて
自分の衣裳だとか冠関係はいつもいちばんさいごになる

王女のシーンで使った淡いピンクのドレスは、ふつうに私服だった
安物なのだけど、色合いやデザインがなかなかよくて
けっこう気に入ってて、パーティーのときに着てたりしたんだけど、都内とかでないとなんか浮いててあまり着る機会がなく
やっぱり舞台で使うくらいでちょうどいいのかも

それに、買い足したもう一段明るめのピンクの布を袖にしてプラス
ほんとはちゃんと縫いつけるつもりだったのだけど、その場しのぎに安全ピンでとめつけておいたら、なんかけっこういい感じだったのでそのまま
手をかけない方がむしろいい、の例

宝石つきのおもちゃの金の冠は、団員さんが見つけて買ってきてくれてたもの
さいしょはロンデナントに使おうと思ってたのだけど、ロンデナントは銀の冠でやるというので、使わせていただくことに
はじめ黒いゴムひもをつけたのだけど、あまり目立つので金色のゴムひもを探した
冠にあう首飾りを、と探して、クリスマスの飾りのオーナメントチェーンを

人魚のシーンで着たマーメイドスカートは、去年のハロウィンの総スパンコール
そのときは次にこの作品をやること決めてなかったんだけど、ちょうどよかった
ただ、ジッパーがついてなくてすごく穿きづらくて、こりゃ早着替えはムリだなと思ったので、自分でうしろのとこハサミで切って、ジッパーを買ってきて縫いつけた
トップスは、いろいろ考えたけど結局無難な白レースキャミ

さいしょ、<エニス>のエルダで使った緑色のかつらを使おうと思ってたのだけど、
つけてみたら私にはどうも似合わないし、自分の髪のほうがかつらよりずっと長くて、
「・・・千年たってむしろ短くなってるっていうのはやっぱ変だよな」と思って却下
代わりに何か緑色の飾りを頭につけることに
いろいろ考えたけど、目下初演では、パトリックフェスで使うかも、と思って買っておいた百均のキラキラのクローバーの飾りを2本ばかり
これも針金で台をつくって巻きつけ、やはりゴムひもで固定
ステージ中にかぶり物がとれると悲劇なので、ゴムの位置や頭につける角度なんかには気を遣う

それに、やはり<エニス>のエルダで使うつもりで買っておいたラメ入りの青緑系のショール、指通す輪を縫いつけて使用
色バランス的にちょうどよかった

首と手首につけた銀の飾りは、アルミの食品用パックを切ってゴムひもを通したもの
いろいろ身につけるものが増えて、早着替えけっこう忙しくなった
これでも、自分の衣裳関係には手がかからなかったほう
ベースに市販品を使ったから

はじめてつけ睫毛をつけてみた
何年も前からつけてみたいなとは思ってて
1年くらい前から買ってあったのだけどいつもそこまで手が回らなくて
うーん 思ったほど印象変わらないな
マジックで目尻を書き足すくらいでちょうどいいな
しかも外すとき痛い ハンドクリームとか塗ってから外すとよいそう

青系のグリッターを探したけど見つからなかったので
代わりにマニキュアにまぜるラメをアイホールに塗ってみた
このへんも今後の課題
ほんとはもっと派手にね、顔に水草の絵とか描いてみたかったのだけれど
前半はまだ人魚になってないしそういうわけにもいかず

でもフェイスペインティングとかそういうより派手な演出、今後やっていきたい

●道具類

・銀器 
ロンデナントのおうちにあったもの(骨董級の引き出物)に加え、紙皿や杯にせっせとアルミホイルを巻いて作成。杯はちいさなどんぶりみたいなのに紙コップを逆さにして接着剤でつけた。
変な形してるのでホイル巻きづらく、5個めくらいでやっとコツがつかめた。
まー、だいたいそんなものだよね。

・バルコニー
さいしょはロケして、バルコニー使う場面だけ実写でいこうかなと思ってた。
撮影によさそうなバルコニーも見つけてたのだけど、諸事情により、つくってしまうことに。
<石垣>のとき、プラダンで道具類をたくさんつくったのだけど、その流れのなごりか。
いかにむだなく最大限に使うかっていう研究はだいぶ進み、切り取り方を工夫してほとんどロスなし。
プラダンの曲がる性質を利用してまるいカーヴをつけた。
いかにきれいなカーヴを出して、かつ自力で立っててもらうかっていうのが課題だったのだけど、上と下に白いゴム紐をぐるぐる巻きつけて、そこにカーヴをつけた細いプラスチック棒を通すやり方を開発。これでステーブルに使えるようになった。
車に積むときに、いちいちプラスチック棒を引き抜いたりまた通したりしなきゃいけないのがめんどくさいけど。

・宝石
王様の冠につけたもの+冒頭の映像で使ったものはラインストーンをまとめ買い。
映像で使ったほうは、もともとあの形のが無色、濃いピンク、薄い紫のしかなくて、あとは色んな色のマジックを買ってきて塗って、虹の七色を再現した。
ピンクは、上から青を塗ると紫になるし、黄色を塗るとオレンジになるし、けっこう使えた。
薄紫も上からいろいろ塗るといろんな調子が出てよし。
マジックは、2色くらい重ねるとニュアンスが出ていいのだけど、重ねたほうに下の色がついてしまって。
こうして作成した色んな色の宝石を、黒いベルベットの上に散りばめて撮影。
じっさいスクリーンに映してみるとベルベットの感じはほとんど出なくて、宝石が黒い宇宙に散らばっているみたいな感じになったが、まあよし。
ほんとは手持ちのアクセサリーで使えそうなやつをピックアップして映像に加えようと思ってたのだけど、選んでるひまがなかった。

・その他
布というのはただかぶせるだけでイメージをつくれて便利。
金色っぽい光沢のあるシルクを、椅子にかけて玉座に、など。
ただ、端をかがらないと洗濯したときほどけちゃうのでね。
こういうのはだいたい、初演のあとやることになる。
頭で考えてると簡単なのだけど、けっこう時間食う・・・
でもこれ終わらせないとミシンがしまえないんだ・・・ (つづく)
  

Posted by 中島迂生 at 17:46Comments(1)第4作 湖底の都 備忘