2011年06月05日

旅行メモ2011 その10 キングス・クロス

 
 ロンドンは女たちが個性的で美しい
 みんな自由に着てるなー
 ほんとに自分の感覚と判断だけで着てる
 ベアトップとかふつうに着てるし
 露出が多かったり突拍子もない組み合わせだったりしても、堂々としてるからハマってる

 あたしもまた日本へ帰ったら
 めげずに好きなカッコしよう。
 敬遠されても気にせずに。
 このところ 社会情勢に流されてなんか反省すべきじゃないことまで反省してたなあたし、と改めて反省。

   ***

 ようやく解放されて、underground でピカデリーライン。
 oneway, zone1, £5 に上がってた。

 ロンドンはごちゃごちゃして疲れる。
 基本ちょっと苦手なのだけど。
 ピカデリーラインのさいしょの方、とくに Hounslow Central あたりは好き。
 窓から見える景色がとても美しくて、降りて歩きまわりたくなる。

 線路の両脇の土手に色んな花が群れ咲いてる。
 白はホーソン、紫はブルーベル、あとなんか青い花。
 煉瓦の壁にからまった藤が薄紫の花房をつけて懐かしかったけど、
 え? 藤?
 日本でも少し前まで、5月に入ってから咲く花だったのに。

 キングス・クロスまでは1本でいけるはずなのだが、だいたい途中で乗り換えるはめになって1本で行けたためしがない。
 途中から地下にもぐってしまい、人ごみと立ちっぱなしと重い荷物で疲れてくる。
 これもいつものこと。

 長ったらしいピカデリーラインいいかげんうんざりだなー
 こんどから考えよう

 今回ほぼ同じ時期にイギリスに来てたボスのマイケルは、ロンドン行かなかったよー! と。
 ヒースローからバスでそのままブライトンへ行ってしまったそうだ。
 いいなー。
 私もこんどからそんなふうにしたい

   ***

 さいしょの宿はキングス・クロスの Gray's Inn Road。
 しばらく来なかったらどこで曲がるのだか忘れていてしばしうろうろ

 キンクロは人が多くてわさわさしてて疲れる
 新宿3丁目的な雰囲気?
 でもカフェの窓から眺めるには面白いし、少し外れるとしずかで町並もキレイで夕方の散歩にはいい

 いまは名前変わってるけどアシュリーハウスというインデペンダント・ホステル
 チェックインして荷物おいたあと
 いつかとそんな変わってない通りを歩いてそうそうこんな店があったよねと思い出し

 ぶらぶらまた駅前まで歩いてきて
 スタバでマンゴーフラペチーノ
 生き返った気持ちでほっと息ついて
 道往く人びとを眺めてると飽きなくて
 このまま3年はここにいられそう

 それから足の向くまま
 今まで行ったことない裏通りの方ゆっくり散歩してときどき写真とって
 そのうちようやくあのイミグレで味わわされた不愉快さが夕風に吹き散らされていった

 色んな人種の人たちにまじって雑踏の横断歩道渡って
 何だろうこの気もち

 あたし結局イギリスに対して幻想抱き過ぎなんじゃないかって
 いままたこうやってイギリスに来て、自分のもってる幻想を打ち砕ければいいななんて思ってた

 だけどこうやってまた来たとたん
 そのとたんにこれがいつもの風景になってる
 5年前にいちど止まってた世界が
 その同じところから再び始まっただけ

 目に映るこの景色とか
 通りすがりに耳に入る色んな言葉とか
 街角のストアに並んでるエッグマヨネーズのサンドウィッチとか
 マクビティのダイジェスティヴ・ビスケットの包みとかそういうもの
 いつ来ても半日もあればたちまち目になじんじゃうのだけど

 なんだろ
 懐かしいというよりものうげな悲しみ
 理不尽さに腹が立ってくる
 何であたしはこれらを日常の風景として持てないのだろ?

 ウェブアルバム
 https://picasaweb.google.com/107799758412385197472/2011London#
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Posted by 中島迂生 at 17:34Comments(2)英國紀2011

2011年06月05日

旅行メモ2011 その9 イミグレ

ウェブアルバムまたちょっと増えました
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   ***

何年も心待ちにして、ひさびさ恋人に会いに行ってみたら、いきなりナイフでグサッと刺された、みたいな。
今回の出だしはそんな感じ。

イギリスの入管が strict で悪名高いのはつとに有名。
いままではわりと数ヶ月という単位で行ってたので、口頭でいろいろ聞かれてうろたえないように、あらかじめ自主的に note for immigration というのをつくっていってた。

滞在の目的、滞在先の住所から、所持金明細、知人の連絡先、等々。
許可なく留学・就労する意思のないこと。
こまごま箇条書きにして。

それと、必要はないのだけどわざわざ大使館まで出向いてビザまでとって。

そのかいあってか、たまたまラッキーだっただけか、それまでは問題なく通れていた。
よい旅を、まで言ってもらったりしてた。

それが、今回は最悪のあしらい。
いままででいちばん短い滞在なのに。
中東系の女の係官だった。

今回だってちゃんとつくってきてたのだった、note for immigration
前回より簡略なものだったけれど。
なのにろくに読みもしないで、

Officer: Is this your first trip to UK?
Me: No, this is my third.

前回の旅のあとにパスポートの切り替えの時期がきて切り換えていたので、それまでの記録はそのときのパスポートになかった。

O: Have you got your old passport?
M: No. (That was my mistake!)
O: How long have been in the previous time?

うわー、それ聞くか?
仕方ないので正直に答える。

M: Three months.
O: What were you doing then? Three months are long time.

うわー、typical な尋問に出くわしちゃった!
そんな過去のことを今さら説明するのか? 
っていうか5年前だよー もうこまかいところ忘れちゃったよー そんないきなり言われても。
ちゃんと合法的に出国してるんだからもういいじゃんー
仕方ないので溜め息ついて説明しはじめる・・・

M: It was literature interest. Just visit the birthplaces of my favourite writers, walking around and taking pictures...
(係官、とたんにきっと目を吊り上げて)
O: Working around??
M: No, no no no!!!

そこを誤解されるといちばん困る、やめてくれー!

 Definitely no jobs!!!
I do nothing illegal!!! 

だんだんいらいらしてきた・・・
 何なんだこの犯罪者扱いは。
 法の内で何をしようとひとの自由だろっ 

You have my record.
Check my record and you'll see I do nothing illegal.
I have never and I don't and I won't!!!

 ひたすら言い張る。
 あー、前のパスポート持ってくるんだったー!

O: Do you have friends in UK? Or boyfriend?
M: yeah I have friends and acquintances in UK.
O: How did you know them?
M: (ため息・・・もういい加減にしてくれないかなぁー そんなことまで聞くのかー?)I made friends with them during my first visit.

 こうなると耐久戦だ。

 色々聞いたあと、とうとうパスポートにスタンプ押して、無言で投げてよこしてくる。
 こっち見もしないで。
 犬に残飯をくれてやるみたいに。
 この屈辱感がこたえる。

・・・こっち観光客として、いちおうイギリス経済に貢献してる人間なんだけどー。
・・・「どうぞ」くらいいったらどうかなー。
・・・アナタそれでもイギリス人?!

 ほんとにこんなもんなんです。
 大変な人にあたると。
 これがイギリスのイミグレの現実。

 別室にひっぱっていかれなかっただけまだまし。
 それに、かつてアイルランドにはじめて行ったとき出くわした非人道的な扱いに比べたら!!
 これについては、あまりにトラウマなのでいまだに書けない。
 たぶんいつか書くと思うけど。

 まぁね
 ほんとに理解されないものなんだね

 アーサー・ランサムの言葉を借りて言えば、私はイギリスで生まれなかったから、せめてイギリスを訪ねなければならないのだ。
 
 ひとつの土地を歩きまわって路地のひとつひとつ、木立や家並のひとつひとつを愛するのにはほんとに時間がかかるものなのだ。

 いくら心のふるさとでも、政治上の立場は外国人に属することで実質的に押しつけられる立場の弱さに起因する、この国での生きにくさについて考えた。

 こんど来るときは、この国への訪問の chronicle をつくってこようか。
  

Posted by 中島迂生 at 03:21Comments(0)英國紀2011