2010年08月31日

中島迂生ライブラリー



サングラスをかけたライオン

 ジャングルの中で、象といっしょに住んでいる7才の少女トザエモの物語。
 ある日、久しく連絡のなかった母親からのことづてを発端に、次々と事件が起こり…。
 14才のときの作品です。ポール・オースターの<幽霊たち>を読んで、あんなふうな斬新な作品を書いてみたいと思って構想しました。
 のちに少し推敲してすっきりさせましたが、文章はほぼそのまま。

じゅずかけばと  

 運命の命ずるまま、仲間とともに世界じゅうをさまよい旅する少年ボルビーゲルのゆきつく果てとは。
 これも14のときの構想で、前半3分の1ほどは当時の文章そのまま。
 ハドソンの The Green Mansion (「緑の館」)や Little Child Lost (「夢を追う子」)がとても好きでした。
 ああいう神秘的で異教的な雰囲気が色濃く出ていると思います。

うるわしのフォーリヤ

 天国のような美しい土地にひとり暮らす少年ヴィクトールと、ある日出会ったふしぎな生き物ジョルジョムをはじめ、
 さまざまな隣人たちとの織りなす日々の暮らし。
 2002年頃の構想。「理想のすみか」のエッセンスをぎゅっと詰めこんだ小さな宝石箱のような小品。
 オタ・パヴェルとか、そういう東欧の田舎っぽい雰囲気かな。

潮騒のスケルツォ  

 北ポルトガルの寒村、灯台守の家に暮らしはじめた孤独な作曲家グレゴールと、その調べに魅せられた人魚とのひと夏の物語。
 構想は2003年くらい。7年後に時を得て書きあがりました。
 「灯台に暮らす」というイメージはたぶん、ドーデの<風車小屋だより>のコルシカ島の章から。(当時は意識していなかったけど)
 雰囲気的には、マルグリット・デュラスっぽい。<モデラート・カンタービレ>みたいな。

(ノベライズ)
トラス・オス・モンテス ノベライズ

 <トラス・オス・モンテス Tras-os-Montes >(1976年、ポルトガル、アントニオ・レイスとマルガリータ・コルデイロ監督、108分、35ミリ、カラー)
 という映画作品があまりにすばらしかったので、備忘のため勝手にノベライズ。  
「ポルトガル現代詩を代表するアントニオ・レイスが、マルガリータ・コルデイロとともにつくった初長編。
 川遊びに興じる子供たちの姿を中心に、遠い山奥のきらきらと輝く宝石のような日々を夢幻的な時間構成により浮かびあがらせる。
 公開当時、フランスの批評家たちを驚嘆させ、のちにペドロ・コスタにも影響を与えたという伝説的フィルム。」
 -当時見たポルトガル映画祭のパンフの紹介文より。

詞華集 カフェ・ジュヌヴィエーヴ

 おもに16から19歳くらいの頃に書きためた小品のうち、なんとなくノスタルジックな感じのを集めたもの。
 カフェ・ジュヌヴィエーヴは旅行雑誌のスナップや昔のパリの写真集なんかからつくりあげた架空のカフェで、当時の私の心の中にあったカフェのイデー。

夢想集 ムーア・イーフォック

 16から19歳くらいの頃に書きためた小品のうち、ちょっと不気味だったり訳わからない感じのものを中心に。
 ムーア・イーフォックはディケンズのエピソードから。あるときコーヒー・ルームのガラス戸を開けて入ろうとしたら、
 ガラスの文字が左右逆に映ったMOOR EEFFOC という文字が目に飛び込んできて、その瞬間まざまざと、荒涼としたイーフォック荒野の情景が広がったのだという。
 日常のふとした瞬間に突如出会う異界の感覚。

随想集 Down to Earth-わが心 大地にあり-

 2001年ころから2004年6月までの、ある恋の記録。
 といっても、じっさいのエピソードというより、イメージの描写とか、心象風景みたいのがおもです。
 ものすごくエネルギーをかけて、上質な仕上がりになったと思うので、いまも満足のゆく作品。

愛蘭土物語(あいるらんどものがたり)

 西の果てアイルランドの大地から託された、16篇の壮大な太古の物語。
 現地を旅した2004年から2010年くらいまで、執筆に7年くらいの歳月を費やした大作です。
 劇団バリリー座上演作品<エニスの修道士><風神の砦><石垣の花嫁><湖底の都>もこちらに収録。
 姉妹篇に<瑛瑠洲物語(うぇーるずものがたり)>があります。

瑛瑠洲物語(うぇーるずものがたり)

 上記、愛蘭土物語(あいるらんどものがたり)の姉妹篇。
 風吹きすさぶ北ウェールズの山々から託された、12篇の暗くドラマティックな物語。
 こちらは現地を訪れたのが2004年と2006年で、やはり2010年くらいまでかかって書き上げました。
 とくに<魔の山><異界の丘>は圧巻です。(ちょっと前置きが長いけど)
 これらのシリーズはみな「やってきた」物語で、自分で考えたわけではないのでね。

ホテル・ノスタルジヤ

 パリ14区、モンパルナスの片隅にひっそりと佇む小さなホテル。
 ある日ふらりとやってきた少女イレーヌは、メリーゴーラウンドから逃げ出した小さな美しいペガサスを
 匿うはめになり、さまざまな騒動が…。
 構想は2005年ころ。当時まだ訪れたことのなかったパリを舞台に、空想のままに楽しんで書いた小品。

海岸通りのデュラスへ~いくたび嵐に打ち墜とされて翼を折りながら、なおも風をまって求め続ける飛翔についての物語~

 劇団を活動停止してから、2012年にはじめてフランスを訪れ、マルグリット・デュラスの軌跡をたどる旅を通じて移住を決意するまで。
 なので、ほぼほぼノンフィクション。文体は、やはりデュラスっぽいと思います。
 実はフランスでさいしょに通った語学学校に、奨学金の申請のために提出したもの。
 この作品のおかげで奨学金、無事通りましたw

(翻訳)
オーチャード、グランチェスター

 英国ケンブリッジの郊外の静かな村、グランチェスターのはずれにある、伝説的なティールーム<オーチャード>の由来を記したリーフレットの日本語訳。
 この場所は20世紀初頭、詩人のルパート・ブルックを中心とする<グランチェスター・グループ>の集う憩いの場となっていた。
 このリーフレットは<オーチャード>に無料でおいてあり、気軽にこの場所の歴史に親しめる。
 この訳をネットでさっと見られたら、当地を訪れる日本人にとって便利だろうなと思って2007年くらいに訳出。

竜一点描

 昔、母校である竜ヶ崎一高を卒業するとき、中島迂生がノートに書き残していった小品。
 当時、色んな先生方からあたたかい感想をいただきました。
 今もいただく。ありがたいことです。

創造的な不幸―愛・罪・自然、および芸術・宗教・政治についての極論的エッセイ―

 大学の卒論。
 主題や内容は、なかなか興味深いと思うのですが、文体が…残念ながら、
 ちょっと無意味に難解すぎて、あんまり読む人のことを考えてるとは言いがたいかも。
 学内誌への掲載をめぐって、大学側とごたごたした。

(2018年8月更新)


























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