2018年04月22日

モノを持つとは・あるフィンランド映画の場合



(画像はすべて、映画のスクリーンショットより)

<365日のシンプルライフ>という映画を見て、なかなか面白かった。
(原題 Tavarataivas, Petri Luukkainen, 2013, フィンランド)

「人生を変えたい」と思い立った主人公が、ある実験を敢行する。
家じゅうに溢れたモノたちをいったん全部トランクルームに預けてゼロから出直す、という実験。
ルールは、1日1個だけ、そこから好きなものを持ってきていい。
それを1年間続ける。(その間、あらたにものを買ってはいけない。)
そして、1年の終わりにどうなるか。

すっかり空っぽになった部屋から始めて、生活しながらそのもようを撮っています。
ドキュメンタリーということになっているけれど、実際は「ドキュメンタリータッチの再編成」という印象。
仕事が映像カメラマンだけあって、非常にきっちり仕上がっている。
筋立てもちゃんとあって、偶然、こんなうまい展開になるかしら・・・?みたいな。



でもたしかに、この実験をやってなければ決して経験しなかったであろう感覚もちゃんと伝わってくる。
例えば、一晩、裸の上にコートだけで過ごした主人公が、次の日にタートルネックのセーターを選び出してその場で着込み、
「ふーっ、体を包むものがあるってありがたいことだなぁ!」としみじみ言うシーン。
あるいは、それまでなんにもない床の上で寝ていたのが、何日めかにやっとマットレスを運び込んで、
「いやベッドってありがたいもんだなぁ。新しい感覚だわ・・・」というシーン。

すごい、分かる気がしました。昔、旅暮らししてたときのことを思い出して。
イギリスやアイルランド、ウェールズを何ヶ月も旅してたことがあるのですが、
雨の中自転車で何十キロも移動した日には、乾いた着替えがあることだけでほんっとにありがたい。
ずっとテントで暮らしたあとには、屋根の下でベッドで眠れるって天国のようでした。
まぁ、ちょっと言いすぎかな。じっさいには・・・宿には宿なりのめんどうがあって、テントも気楽でよかったですよ。
でも少なくとも、暴風雨のときにテントじゃなくてベッドで眠れるっていうのはほんとにありがたかった。



映画に戻ると、映像は、大方主人公とその部屋ばっかりでやや単調に感じましたが、
まわりの人々とのやりとりも面白いし、みんな明るくていいですね。
それに、たまに挟まれる、街を俯瞰で見渡したショットや、何気ないカフェのシーンなんかもよい感じ。
サキソフォンの音色がおしゃれで、よく似合っています。

でも、私的には、この映画の最大のポイントはすばり、主人公のおばあちゃんの部屋です。
いちばん魅力的な映像だと思う。
白を基調としたキッチン、赤いテーブルクロスの敷かれたダイニングテーブル、白い椅子、テーブルの上のシクラメンの鉢・・・
見るからにあったかくて、味わいがあって、そこに暮らすおばあちゃんの人柄が手に取るように伝わってくる。
これが部屋ってものです。
この部屋の醸し出す唯一無二の空気。



このおばあちゃんの言葉が主人公に指針を与えるものとなるのですが、
なんかもう、そんな言葉なんか、おばあちゃんが語る前からこの部屋がとっくに雄弁に語っていると思うの。
主人公が最終的に目指すのはこのレベルなんだろうな・・・と思う。
いや、こういうテイストの部屋、ということではなく、唯一無二性という点でね。
まぁ、私の見方は相当偏ってますので、もっとちゃんとこの映画について知りたい方は、
ほかにもこの映画について詳しく書いてるブログが色々あるみたいなので、そちらへどうぞね。
もしくは本編をどうぞ。

さて、この映画を見ていて、自分も期せずして同じようなことやっていたな・・・と思ったことがありました。
それは旅してた頃のことではなく、ここ数年パリに暮らすなかでね。
それで、次記事ではちょっとそのことについて書こうと思います。







同じカテゴリー(巴里日記2018-4月)の記事画像
インテリアは、断然白!
食器は白でまとめたい
片づけ番組フリーク
うっかり買いすぎたものたち
日本にもあったらいいな! パリの古着回収ポスト
モノを持つとは・パリに住んで変わったこと
同じカテゴリー(巴里日記2018-4月)の記事
 インテリアは、断然白! (2018-04-23 07:53)
 食器は白でまとめたい (2018-04-23 07:45)
 片づけ番組フリーク (2018-04-23 07:29)
 うっかり買いすぎたものたち (2018-04-23 07:25)
 日本にもあったらいいな! パリの古着回収ポスト (2018-04-23 07:20)
 モノを持つとは・パリに住んで変わったこと (2018-04-22 00:49)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。