2016年10月19日

つくばの日々2016その4 モノのよき手放し方を考える の巻




ものの手放し方って難しいと思いませんか。
どう考えても捨てるしかないってものだったらまだしも、難しいのは・・・
「もう使っていないし邪魔だから手放したいけれども、モノとしてはまだ使える」っていう場合。
それを、使ってくれそうな人のところへうまく回す、しかもなるべく時間も手間もお金もかけずに。
そうなると、とっても難しい気がします。

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例えば、着なくなった服の場合。
フリマアプリに出すほどのものでもないし、でも資源ごみの日に出そうとしたら、あいにくの雨。
そこで時間をつくってリサイクルショップへ持っていくと・・・
二束三文なのはいいとして、個人情報を書かされ、免許証までコピーされ。
あげくは大半のものを「これはお引取りできません」と返されてしまい、また持って帰ってくるはめになったり。
あの虚しさと、やり場のないモヤモヤ感と・・・。
そんな思いをしたことがあるのは、私だけではないはず。
何とかムダなごみを出したくない、その一心なだけなのに・・・。

そんななか、今のところ、これは鉄板!と思うのは、H&Mの古着回収サービス。
H&M以外の服でもOK。袋詰めして持っていくと(もちろんきれいに洗濯済み)、基本何でも引き取ってもらえます。クーポン券までもらえます。
持ち込まれた衣類は選別され、ものによって再利用されたり、繊維や燃料としてリサイクルにまわされたりするそうです。
企業の社会貢献活動の一環として行われてるみたいですね。

パリでは、さらに便利なシステムがあります。
「古着回収ポスト」というのがあちこちにあって、いつでも好きなときに入れられるの。
これはほんとにありがたい!
日本でもこんなのが、近所のコンビニとかにあったらいいなぁ。
そんなお話も、そのうち。



古着回収ポスト。

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それから、文房具とか画材などの場合。
片づけしていたら使いかけの中途半端なものや、使っていない貰いものなどがたくさん出てきた。
どこかに寄付できないかなとネットで探してみると、色んな団体があるにはある。
けれど、けっこうお金がかかるところが多い。
送料+αで引き取ってもらうための手数料がかかるんです。

いろいろとコストがかかるのは分かるけれど、できれば送料くらいにしてほしいな。
そこで、送料のみで引き取ってもらえる団体を探して送りました。
各団体によってシステムも違うし、受け付けているものも違うので、送る前にサイトをよく読む必要があります。

パリでは、とっても簡単。
いらないものがあったら、おもてへ持っていってその辺に置いておくだけ。
ほしい人が勝手に持っていってくれます。

今のアパルトマンに引っ越してきたとき、前の住人が私物を大量に残していたんです。
自分のものもあるし、狭くてとても置いておけない。
そこでいらないものを全部道のわきに出しておいたら、数日後には全部なくなっていました。
引き出しの壊れた重たいライティングビュローでさえ!

こちらでは、総じてわりと気軽にモノを回す文化があるみたいです。
拾ったものを家に持ち込むことにも、あまり抵抗がないみたい。
蚤の市なんかでは、捨てるようなものでも平気で売っていたりする。
前住人の遺産も、売ったら少しはお金になったかもしれませんが、・・・
やっぱり、全部その場ですっきり手放せる気持ちよさには替えられません。



一般家庭も多く参加するパリのフリマ。

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今回、ガレージを塞いでいたバイクも手放しました。
こちらは<バイク王>さんにお願い。
値段はつきませんでしたが、無料で引き取ってもらえ、廃車手続きも代行してもらった。
ひと手間省けて助かりました。
企業努力もあるのだと思いますが、こういうサービスをしても成り立つ市場があるのね。

通勤にめちゃくちゃお世話になったバイクですが、大変なこともあったの・・・。
土砂降りの雨の日に、トータル100キロくらいを走らなくてはならなかった日とか。。
複雑な思いもありつつ、それでもきれいに洗って、書類もきっちり揃えて送り出しました。。



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古い書類関係などは、ふつうに資源ごみの日に。
とりわけいらない書類って、捨てるとほんとにすっきりして気持ちよい。
心の塵あくたが一掃される感じ。

いろいろ整理していると、ずっと探していたものがひょっこり出てきたり。
こんなのあったっけ! なんて、存在さえ忘れていたものが出てきたり。
そんなうれしいおまけつき。ほんとに宝探しみたい。

カオスの山も、丁寧に分類して、種類別にあるべきところへ収め、いらない分を除いてみると・・・
あら不思議、すっかりかさも減って、棚も見違えるようにすっきり。

探し物があるときほど、いったん忘れて、おもむろに端から全部整理にかかってみる。
回り道のようでいて、実は最強の近道。

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そう、片づけをして、いらないものを手放すのは、大切なものをもっと大切にするため。
私は今でも、あんまり手厳しく切り捨てるほうではありません。
もういらないかな、と思っても、手前側1,2割はとっておく。
ミニマリストは目指さない。
モノを目の敵にしたりしない。

モノがあるっていうのは、そもそもありがたいことなのです。
異国の地でゼロから始めてみると、ふだん当たり前のようにまわりにあったものがどれほどありがたいものか気づく。
なんとかひととおりのモノを揃えようとすると、それはそれは苦労します。
日本で百均で買えるものも、ないところにはない。
街中走り回って探してもやっぱりなかったりするもの。

だからこそ、不要なものはなるべく誰かの役に立つような仕方で手放して。
そこそこ片付いた状態をきれいに保って、きちんと管理することがモノへの敬意。

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さいごに、冒頭の写真の古い白いラジオ。
これは中学生のときに聞いていたもの。
とっくに壊れているけれど、お世話になってたし、マジックで描きこんだネコのイラストも愛着があった。
2年くらい前に大掃除をしたときに出てきて、まだとってあったんだ!とちょっと感動・・・。
でも、白かったボディが紅茶色みたいなすごい色になっていて。
もう使うこともないのに、思い出のためだけにこのままただ家に置いておくのも、何だか現役時代の尊厳を損ねる気がした。
それでこのたび、思いきって送り出すことに。
ほんとに、お世話になりました・・・。
ご縁があれば、また何かに形を変えて戻ってきてくれることでしょう。。







  

Posted by 中島迂生 at 19:53Comments(0)つくば日記2016-8月・9月

2016年11月01日

2016つくばの日々その5 雑貨の持ち方。の巻




ここ何年も、ずーっとこの傘一本。
少ないものをきちんと管理することで得られる 快適な暮らしとは。

この夏、古着や文房具などをまた少し手放すことができたことで、
今いちど、モノを持つということについて考えた。

モノを持つとは、何を持つかという哲学であり、
いかに区分けするかという分類学であり、
どうやって管理するかというマネージング術である。
・・・と思うの。・・・

以前は私、ほんとにいいかげんなモノの持ち方していた。
玄関にはビニ傘が10本くらい並び、20人分くらいの靴が埋め尽くして、
今日は何のパーティですか? みたいなありさま。

その場その場で買ったものを、そのときどきでその辺に置いて、
それが積み上がってカオスの山を成していた。
だからたちまち紛れてしまうし、何がどれだけあるかも不明。

片付けプロジェクトを始めてから、色々出てきて、呆れてしまった。
ホチキスや穴あけパンチは3つくらいずつあるし、
絵の具は山ほど、プリント用紙は種類豊富すぎて変色してるし
封筒や便箋は使いかけが各々10パックくらいも。

ちゃんと仕分けして、同じグループのモノたちをひとまとめにしておく。
それだけでもずいぶん違う、って分かった。
今回、文房具類を寄付して手放せたのもよかった。

以前は何となく思いこみがあったのだと思う。
使わなくても使えるものはとっておかなければいけない、みたいな。
でも、あ、これを送っていいのならあれもいいのだわ、と切り替わって、
引き出しもずいぶんすっきり、心も軽くなった。

それでもやっぱり、色んな団体を調べて、箱詰めして郵送したり、
そういうの、けっこうたいへん。
できればパリの古着ポストみたいに、まだ使えるものをいつでも入れていい
「不用品ポスト」みたいのが近所にあるといい。。

モノって、基本、最低限あればいい。
少なければ少ないほどいい。
そのモノ自体が大好きとか、コレクションしてるとかでなく、
機能だけを求める場合は。
物欲がどうのというより、そのほうが快適だから。

いま使っているWaterFrontという超軽量の折り畳み傘。
つねにバッグの中に入れていて、雨が降れば使い、
帰ってシャワー室に広げて干して、乾いたらたたんでまたバッグにしまう。
その繰り返し。この1本で事足りる。

軽いからバッグに入れていても全く問題なし。
つねに入れているから、出先でビニ傘を買うこともなくなった。
傘立てもないから、場所をとることもなし。

そのほか、文具や書類、服飾品など、厳選したら、あとは管理。
以下に美しく取り出しやすく、論理的に並べるか。
モノにとっても居心地がいいように・・・。

それは器である部屋との関係にもなってくる。
いろいろ考えながらパズルのようにモノを配置し並べてゆく、
それは部屋と対話する時間をもつことでもある。

何がどこにどれだけあるか、つねにきちんと把握していること、
それは、王様が国政をきちんと把握しておくのと同じ、とても大切。
我々はみんな、自分の部屋の王様なのだから。

今やいつもすっきり、超ストレスフリー。
必要なものはだいたいすでにあるので、あまり買わなくなった。
どこに何があるか分かっているので、探し物しなくなった。
支度するにもスムーズなので、あまり遅刻しなくなった。
何をするにも決断・行動が早くなった。

他方、以前は雑貨屋さんを見て回るのが好きだったのだけれど、
・・・あまり楽しくなくなった。
なんか、モノのパワーに圧倒されて疲れてしまう。
心惹かれることもめったになくなった。
好みの幅がすごく狭くなった。というより、クリアになったのだろう。

モノを処分するのにこれだけ苦労したあとでは、
もう、大概のものはほしくない。
ほんとに必要なもの、ほんとに好きなもの以外は。
そしてもう、それらはほぼほぼ、すでに持ってるのです。。。



好きなものは大切にとっておく。。






  

Posted by 中島迂生 at 08:21Comments(0)つくば日記2016-8月・9月