2015年02月19日

12月7日(日) その1 オランジュリー美術館 Orangerie




セーヌ川から見るオランジュリー美術館と、朝のチュイルリー公園。
館内は残念ながら撮影禁止になってしまっていた。
なのでその周辺のもようを少し。

  

 

朝のコンコルド広場。

 

 

この日は朝一でオランジュリー美術館。
卵型の白いゆったりとした空間に、自然光でモネの睡蓮の連作を展示してる。

たまたま入った時間にモネの生涯を解説したビデオを流していて、よかった。
個人的には、モネの睡蓮は、なんかぼんやりしすぎてる感が強かった。
もっとちゃんと細部まできっちり描けばいいのに、って思ってた。
色のまじりあいも半ばオートマティックな感じがして。
適当に絵具混ぜてれば誰でもこんなの描けるじゃん、って。
ただ、はじめてこういうスタイルで描いたっていうのが彼の偉大さなんだろなって。

でも、彼自身もそう思ってたんだ。
彼が戦時下に失明の恐怖と闘いながら描いていたこと、「前より下手になってしまった。自分の仕事をぶち壊してる・・・」と嘆いていたこと。
そうだったんだ!
そういえば、祖父もそうだった。
だんだん目が見えなくなるにつれて、細部が描けなくなり、なんだかぼんやりした絵になっていった。あの感じと同じなんだ。
でも、祖父も視力をほぼ失ってしまってからも、描き続けていた。
「何で見えないのに描けるのか、ふしぎだわ」と母が言ってたものだ。
本人は、「心の目で描いてるんだよ」って言ってた。
モネもそうだったんだね。
それならあの睡蓮も分かる。
そうかー。

ここの美術館も、モネ自ら気に入っていろいろ配置を考えたりして心血を注いだにも関わらず、せっかく戦火をくぐって生き延びた作品たちがその後長らく顧みられずに放っておかれて(何ということだ!)、実に90年代になってようやくまた日の目を見たこと!!
なんかそういうの、ほんとに、来るものがある。
あぁ、ほんとによかったね。・・・

  

Posted by 中島迂生 at 04:32Comments(0)巴里日記2014-12月

2015年02月19日

12月7日(日) その2 サント・シャペルSte. Chapelle, Notre Dame




美しいステンドグラスで有名な教会。
 
 

 

外観を下から見上げたところ。

 

すぐそばのノートルダムへ。大きなトゥリーも出現していて、人がたくさん。
久しぶりに中へ。すごく寒い日だったので少しあったまった。

 

 

サン・ルイへ足をのばす。ベルティヨンのカラフルな店先。

 



  

Posted by 中島迂生 at 04:38Comments(0)巴里日記2014-12月

2015年02月20日

12月7日(日) その3 ロダン美術館 Musee Rodin




カミーユ・クローデルの作品を一度見てみたいと思っていて、そこでこの日は次にロダン美術館へ。

 

広々した庭園の中に構えたお屋敷。このミュゼも人気が高いようだ。



<地獄の門>。
この作品のことは全然知らなかったのだが、なかなかおどろおどろしくて素敵。

 

レリーフと彫刻を組み合わせたような独特のスタイルだ。
これ、飛び出た部分は明らかに、別につくってあとから接ぎ合わせているのだと思う。

こういう写実的で細かくて独創的な仕事もしてたのね。
正直、それまでロダンって、どうもマッシヴなばかりで細部が適当すぎっていうイメージしかなかった。
まぁ、細かい部分は弟子のカミーユがつくったのかもしれないけれど。

それにしても、こんなところにまで<考える人>がいるのを見て、吹いてしまった。
ウィリアム・サロウヤンの<パパ・ユーア・クレイジー>の中に、父子がこの作品について語り合うくだりがある。

「パパ、これは何?」
「<考える人>さ」
「この<考える人>は、何を考えているの?」
「自分のことさ」

こういう名文に出くわしてしまうと、以後、この一節を思い出すことなしに<考える人>を見ることができなくなる。
・・・そうだよなぁ。
そういうやつは、地獄に落とされてもきっと自分のことばっか考えてるよな。
(注:制作者的には、ここはそういう意味ではないと思われます。)

ところで、十数点あると聞いたカミーユの作品が全然見当たらないので監視員のお姉さんに聞いてみると、いま北部の別の展示に貸し出されているのだという。
「いつ戻ってきますか?」と聞くと、あっさり
「分かりません」と。・・・
「一点だけあります」というので気をつけていると・・・

 

いた!
しかも代表作の<分別盛り>ではないか。
これこそ、その展示に貸し出してあげなくていいのかしら。

とにかく、実物を見れてよかった。



  

Posted by 中島迂生 at 05:35Comments(0)巴里日記2014-12月